• ケーススタディ

相続開始前3年以内に特定贈与信託を受けた場合

Q 令和3年8月に私の叔母がなくなり、私の母が叔母の財産を相続したため、相続税の申告が必要となります。
私の母は、令和1年12月に叔母から特定贈与信託により3,000万円の贈与を受けています。
相続税の申告の際、相続開始の3年以内の贈与は相続税の計算に影響すると聞きましたが、私の母の場合は該当するのでしょうか?
私の母は、精神障害者の障害者手帳3級を保持しています。

A あなたのお母様が受けている特定贈与信託については、相続財産への加算の対象となりません。

あなたのお母様は、精神障害者3級のため特別障害者以外の特定障害者として、特定贈与信託の3,000万円の非課税の制度を受けています。
相続開始前3年以内の贈与の相続財産への加算の対象は、贈与税の課税価格の計算の基礎に算入されるものに限られます。そのため、贈与税が非課税とされた3,000万円は、相続財産への加算の対象となりません。

仮に、非課税枠が3,000万の方に対して4,000万円の贈与をした場合には、1,000万円は贈与税の課税対象となり、相続開始前3年以内の贈与として相続財産への加算の対象にもなります。

【参考】
特定贈与信託は、特定障害者の方の生活の安定を図ることを目的に、そのご家族等が金銭等の財産を信託銀行等に信託するものです。
特定贈与信託を利用すると、相続税法の「特定障害者に対する贈与税の非課税制度」により、特別障害者の方は、6,000万円、特別障害者以外の特定障害者の方は3,000万円を限度として贈与税が非課税となります。

重度の心身障害者の方は、特別障害者に該当し、中軽度の知的障害者及び障害者等級2級または3級の精神障害者等の方は、特別障害者以外の特定障害者に該当します。

※ご不明な点等ございましたら、OAG税理士法人までお問合せ下さい。

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