• ケーススタディ

相続人が行方不明の場合

Q 相続人の中で行方不明の人がいるため、遺産分割協議ができませんが、相続税の申告はどのように対応したら良いのでしょうか

A

  1. 現状のままの場合
    遺産分割協議が整わないため、相続財産は未分割となり行方不明者以外は民法上の法定相続分により相続税の申告をすることになります。未分割の申告になると以下の特例が適用できません。
     ・ 配偶者に対する相続税額の軽減
     ・小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例
    特に、相続人の中に配偶者がいる場合は税額軽減が使えず、また、地価の高い自宅をお持ちの場合も小規模宅地の減額が適用できないので納税資金が大変な負担となります。
  2. 行方不明が7年以上の場合
    行方不明から生死が7年以上明らかでない相続人がいる場合は、利害関係人の申立てに基づき、家庭裁判所で「失踪宣告」をしてもらいます。
    失踪宣告がなされると、失踪者は死亡したとみなされます。つまりその失踪宣告が相続開始前であれば、失踪者の代襲相続人が相続人となり、他の相続人と共に遺産分割協議を行い、相続税の申告をすることとなります。
  3. 行方不明が7年未満の場合
    行方不明から7年未満の場合は、上記の失踪宣告はできません。利害関係人の申立てに基づき、家庭裁判所に「不在者財産管理人」の選任をしてもらいます。選任された不在者財産管理人は、家庭裁判所の許可を得た上で遺産分割の協議に参加することが出来ますので、その分割協議により相続税の申告をすることとなります。
    上記①の未分割申告の場合は、原則として、3年以内に遺産分割を行った場合に上記の特例の適用があります。また、相続税の申告期限の翌日から3年を経過する日までに分割できない場合は、一定の手続きにより、さらに3年という分割期間を延長することが出来ます。

    但し、分割期間は延長できますが、この場合他の相続人の精神的疲労を考えると、財産管理人の選任を行い、遺産分割を進められる方がよろしいのではないでしょうか。

※手続きについてご不明点がございましたら、OAG税理士法人へお問合せください。

関連する質問