親が亡くなったときの相続手続き一覧表|期限ごとにやることをわかりやすく解説

  • 相続手続き

親が亡くなると、深い悲しみの中でも、期限の決まった相続手続きを次々と進めなければなりません。
「何を、いつまでに、どこへ提出するのか分からない」
「手続きを漏らして後でトラブルや税金のペナルティが発生しないか不安」
このような悩みを抱え、「親が亡くなった時の相続手続き一覧表」を探している方も多いのではないでしょうか。

相続手続きは、死亡直後の葬儀・行政手続きから始まり、3か月以内の相続放棄の判断、4か月以内の準確定申告、10か月以内の相続税申告、さらには不動産の相続登記や各種名義変更まで長期間にわたって続き、それぞれに法定期限があります。

この記事では、亡くなられたらすぐに行う最優先手続きから、3か月以内・10か月以内の重要な判断、税金・相続登記・名義変更までわかりやすく解説しています。

1. 親が亡くなった時の相続手続き一覧表

親が亡くなった際の相続手続きは多岐にわたり、各手続きには期限が設定されています。以下は、主な手続きとその流れの一覧です。具体的な手続きについては、2章よりご紹介します。
これらの手続きは、亡くなった後すぐに行うべきものから、時間をかけて行うものまでさまざまです。手続きには必要書類が多く、期限も厳格なため、早めに行動することが重要です。

表1:相続手続きの流れ一覧
親が亡くなった時の相続手続き一覧表

2.死亡後すぐに行う最優先の手続き(〜7日以内)

相続手続きは亡くなった直後から始まります。特に死亡届の提出や火葬許可証の取得は、葬儀・火葬を行うために必要となる最優先の手続きです。まずは、死亡後7日以内を目安に対応すべき手続きを順番に確認していきましょう。

表2:死亡後すぐに行う最優先の手続き(〜7日以内)
親が亡くなった時の相続手続き一覧表

2-1.死亡診断書の受け取りと死亡届の提出(7日以内)

「死亡診断書」は、亡くなった事実を法的に証明するための重要な書類です。
病気の治療を受けていた方が、病院や自宅で亡くなった場合には、臨終に立ち会った医師、または死亡を確認した医師が死亡診断書を作成します。
一方、事故死や突然死など、医師による診療を受けていない状態で亡くなった場合には、警察や監察医による検視を経て「死体検案書」が交付されます。
相続手続き上は、死亡診断書と死体検案書はいずれも同じ役割を果たします。

死亡診断書(死体検案書)は、死亡届と一体になった用紙になっており、左半分が死亡届、右半分が死亡診断書(死体検案書)です。
医師が右側を記入した後、遺族が左側の死亡届欄を記入し、市区町村役場へ提出します。

なお、死亡診断書は、生命保険金や遺族年金の請求、各種相続手続きで原本の提出を求められることが多いため、提出前に必ず複数枚コピーを取っておくと安心です。

図1:死亡届・死亡診断書
親が亡くなった時の相続手続き

2-2.火葬許可証の取得

市区町村役場へは、死亡届と火葬許可申請書を同時に提出します。
死亡届の提出期限は死亡から7日以内と定められていますが、火葬を行うためには「火葬許可証」が必要となるため、葬儀・火葬の前に届け出を行うのが一般的です。

死亡届は、医師が記入した死亡診断書(死体検案書)と一体となった用紙の左半分にあたります。役場で死亡届が受理されると、その場で火葬許可証が交付され、この火葬許可証がなければ火葬を行うことはできません。

死亡届への署名・押印ができるのは、親族、同居人、家主、後見人などと法律で定められていますが、実際の提出は代理人が行っても問題ありません。多くの場合、葬儀社が遺族に代わって手続きを代行します。

なお、死亡届が受理されると、亡くなった方の住民票は自動的に抹消されるため、住民票の抹消手続きを別途行う必要はありません。

3. 死亡後14日以内に行う行政手続き(法定期限)

死亡届の提出後も、年金や健康保険などに関する行政手続きが続きます。手続きによっては期限が定められているため、早めに確認して対応することが大切です。

表3:死亡後14日以内に行う手続き
親が亡くなった時の相続手続き

3-1.年金受給停止の手続き(年金事務所)

亡くなった方が年金を受給していた場合は、年金受給停止の手続きを行います。
「年金受給権者死亡届(報告書)」を、年金事務所へ提出します。期限は、年金受給権者死亡届(報告書)の提出が必要な場合は、国民年金は14日以内、厚生年金は10日以内が目安です。ただし、マイナンバーにより死亡情報が連携される場合は提出不要となります。

なお、日本年金機構にマイナンバーが登録され、住民票コードと連携されている場合には、死亡の事実が自動的に連携されるため、年金受給権者死亡届の提出は不要です。
また、亡くなった方が受け取るはずだった年金のうち、まだ支給されていない分がある場合には、一定の遺族が「未支給年金」として請求し、受け取ることができます。
未支給年金の請求期限は、死亡日の翌日から5年以内です。

3-2.国民健康保険・介護保険の資格喪失届

亡くなった方が国民健康保険、後期高齢者医療制度、介護保険に加入していた場合は、亡くなってから14日以内に市区町村役場で資格喪失の手続きを行います。いずれの制度でも、保険証の返却が必要です。
一方、亡くなった方が会社員などで協会けんぽや健康保険組合に加入していた場合には、死亡から5日以内に勤務先が健康保険の資格喪失手続きを行うのが一般的です。この場合も、亡くなった方の保険証は勤務先へ返却します。
また、亡くなった方の健康保険の被扶養者となっていた配偶者や子どもなどは、被保険者の死亡により扶養の資格を同時に喪失します。そのため、国民健康保険への加入や、新たな健康保険への切り替えなど、速やかに自身の健康保険の手続きを行う必要があります。
 
3-3.世帯主変更届

亡くなった方がその世帯の世帯主であった場合に、新しく誰が世帯主になるのかを役所に届ける手続きです。
亡くなってから14日以内に、亡くなった方の住民票があった市区町村役場で手続きを行います。届出人は新しい世帯主、もしくは同じ世帯の親族、委任状があれば代理人でも可能です。ただし、以下のような場合はこの手続きは不要です。

<世帯主変更届が不要なケース>
・世帯に残ったのが1人だけの場合
・次の世帯主が明らかな場合:
 例えば、残された世帯員が1人のみの場合や、世帯員が2人で次の世帯主が明らかな場合は届出不要です。

3-4.児童扶養手当・障害者手当などの変更・廃止

児童扶養手当や障害者手当の手続きは、受給していたのが「亡くなった方」なのか「残された家族」なのかにより、変更または廃止のいずれかの手続きが必要になります。手続きは市区町村役場の福祉課、子育て支援課などです。

【児童扶養手当】
<新たに受給する場合>
 配偶者が亡くなり、残された親が子どもを養育することになった場合は、認定請求を行います。※請求が遅れると、支給されない期間が発生するため早めの申請が必要です。

<受給者が亡くなった場合>
 亡くなったら14日以内を目安に速やかに受給権消滅届を提出します。
 未支給分がある場合は、一定の要件を満たす子どもなどが請求できることがあります。

【障害者手当(特別障害者手当・障害児福祉手当など)】
<受給者本人が亡くなった場合>
 受給権消滅届などを市区町村の福祉窓口へ提出します。
 多くの自治体では、この手続きを「14日以内」または「遅滞なく」と案内しています。また、亡くなった月分までの未支給手当については、遺族が請求できる場合があります。

【特別児童扶養手当】
いずれの場合も速やかに提出する必要があります。
<受給者(親)が亡くなった場合>
 新たな養育者が認定請求を行い、受給者を変更します。

4.相続の方向性を決める「3か月以内」の重要手続き

相続開始後の3か月間は、今後の相続手続きを左右する極めて重要な期間です。
相続財産の全体像を把握し、相続の方向性を誤らないためにも、この期間に行うべき手続きを確実に進めましょう。

表4:死亡後3か月以内に行う手続き
親が亡くなった時の相続手続き

4-1.遺言書の確認

遺言書は、亡くなった方の最後の意思を示すもので、相続において最も尊重されます。遺言書がある場合は、原則としてその内容に従って遺産分割が行われるため、相続手続きではまず遺言書の有無を確認します。

主な遺言書には「自筆証書遺言」「公正証書遺言」があります。
自筆証書遺言は、自宅や貸金庫、信託銀行など心当たりのある場所を探し、法務局の保管制度を利用していない自筆証書遺言が見つかった場合は、開封せず家庭裁判所で検認を受けます。ただし、法務局の保管制度を利用している場合は、法務局で保管されています。

一方、公正証書遺言は公証役場に保管されているため、全国の公証役場で遺言検索を行うことができます。

【遺言書の探し方】
表5:遺言書の探し方

手順

確認方法

内容・ポイント

 

 

関係者への確認

故人の親しい友人や家族に、遺言書の存在や保管場所について心当たりがないかを尋ねます。遺言書の有無や手がかりが得られる場合があります。

 

公証役場での確認

公正証書遺言が作成されている可能性がある場合は、公証役場の遺言検索システムを利用して調査します。全国の公証役場で作成された公正証書遺言の情報が一元管理されています。

 

法務局での確認

自筆証書遺言が法務局に保管されているかを確認するため、遺言書保管事実証明書の交付請求を行います。これにより、故人が自筆証書遺言を保管していたかどうかが分かります。

 

 

自宅・遺品の探索

遺言書が見つからない場合は、亡くなった方の自宅や遺品を再度確認します。金庫、引き出し、重要書類の保管場所などを重点的に探しましょう。

 

銀行・貸金庫の確認

亡くなった方が利用していた銀行の貸金庫に遺言書を保管しているケースもあるため、取引のあった金融機関に問い合わせることも有効です。

4-2. 相続財産の調査

相続財産の調査は、亡くなった方の遺産を正確に把握し、遺産分割協議や相続税申告を円滑に進めるために必要です。財産の種類には、預貯金、不動産、有価証券、動産(貴金属や自動車など)のプラスの財産だけではなく、借金などのマイナスの財産も含まれます。

【相続財産の調査方法】
表6:相続財産の調査方法

調査項目

確認内容・方法

遺品・書類の確認

被相続人の自宅を調査し、通帳・キャッシュカード・契約書・証券類などを探します。預貯金や有価証券の有無を把握するための第一歩です。

金融機関への問い合わせ

遺品から判明した情報をもとに、取引のあった金融機関へ照会します。相続人であることを証明するため、戸籍謄本や死亡診断書などの提出が必要になります。

不動産の調査

固定資産税の納税通知書や登記済権利証を確認します。市区町村役場で名寄帳を取得することで、その自治体内に所在する被相続人名義の不動産を一覧で確認できます。

有価証券の調査

証券会社からの取引報告書や配当金通知書を確認します。口座が特定できない場合は、証券保管振替機構(ほふり)に開示請求を行うことができます。

みなし相続財産の調査

生命保険金や死亡退職金など、「死亡をきっかけに受け取る財産」を確認します。

これらは遺産分割の対象外ですが、相続税の計算上は相続財産に含めます。
受取額から「500万円×法定相続人の数」の非課税枠を差し引いた金額が課税対象となります。
相続税の課税対象となりますが、相続財産全体が基礎控除額以下であれば相続税は発生しません。

負債の調査

借金や未払いの税金なども調査対象です。契約書、督促状、通帳の入出金履歴を確認し、債権者や負債額を把握します。

4-3.相続人の確定

相続人の確定は、相続手続きを進めるうえで最初に行うべき重要な作業です。
遺産分割協議は相続人全員の参加が必要で、相続人が確定していなければ協議は無効となります。
また、相続税申告や相続登記などの法的手続きも、相続人が確定していなければ進めることができません。
後から別の相続人が判明すると、遺産分割のやり直しが必要となり、トラブルの原因になります。
さらに、相続人の数は相続税の基礎控除額に影響するため、税額計算の面でも重要です。
相続トラブルと手続きの遅延を防ぐためにも、早い段階で相続人を正確に確定させましょう。

【相続人の確定手順】
表7:相続人の確定手順

手続き内容

具体的な確認・作業内容

戸籍謄本の収集

被相続人の「出生から死亡までの連続した戸籍謄本」を取得し、家族関係を網羅的に確認します。

戸籍の遡及調査

戸籍の記載内容をもとに、過去の本籍地の役所へ請求を行い、出生時の戸籍まで遡って確認します。

相続人の洗い出し

戸籍謄本を時系列に整理し、配偶者・子ども(養子・認知した子を含む)・親・兄弟姉妹など法定相続人を特定します。

相続人の現在戸籍取得

確定した相続人全員について、現在の戸籍謄本を取得し、最新の身分関係を確認します。

相続人関係説明図の作成

確定した相続人を図にまとめ、相続関係を可視化することで、遺産分割協議を円滑に進めます。

4-4.相続放棄・限定承認の判断・申立て

相続放棄とは、相続人が被相続人の財産も負債も一切引き継がないことを選択する手続きです。相続放棄を行うと、その人は初めから相続人ではなかったとみなされます。

一方、限定承認とは、相続人が被相続人のプラスの財産の範囲内でのみ、マイナスの財産(借金など)を引き継ぐ手続きです。具体的には、相続人は相続によって得た財産の限度で、被相続人の債務を弁済することになります。

【相続放棄を選ぶケース】
相続放棄は、相続による不利益を避けるための制度です。
借金や未払い金など、負債が資産を上回る場合は代表的な選択肢となります。

また、不動産があっても、固定資産税や管理費など維持コストが重い場合には放棄が合理的なこともあります。

相続人同士の関係が悪く、紛争が予想される場合や、精神的・金銭的負担を避けたいときに検討されます。相続放棄は一度受理されると原則撤回できないため、慎重な判断が必要です。

【相続放棄の申立て方法】
相続放棄は、自己のために相続の開始があったことを知った日の翌日からから3か月以内に行います。

亡くなった方の最後の住所地を管轄する家庭裁判所へ申立てをします。必要書類は、相続放棄申述書、戸籍謄本などです。

【限定承認を選ぶケース】
限定承認は、相続財産の範囲内でのみ負債を引き継ぐ制度です。借金があるか不明だが、プラスの財産も見込まれる場合に選ばれます。

不動産や事業資産など、手放したくない財産がある場合にも有効です。相続財産の全体像が把握しきれない場合に検討します。

【限定承認の申立て方法】
限定承認も、相続の開始があったことを知った日の翌日から3か月以内に申立てを行います。亡くなった方の最後の住所地を管轄する家庭裁判所が申立先です。申立ては相続人全員が共同で行う必要があります。受理後は、財産目録の作成や債権者への公告などが必要になります。

手続きが複雑なため、専門家へご相談されることをおすすめします。

5.税金に関する手続き(4か月〜10か月以内)

相続が発生すると、一定期間内に行わなければならない税金に関する手続きがあります。
特に「準確定申告」と「相続税申告」は、期限が法律で定められており、期限を過ぎると追加の負担が生じることがあります。
ここでは、亡くなってから4か月以内・10か月以内に行うべき税務手続きを整理して解説します。

表8:死亡後10か月以内に行う手続き
親が亡くなった時の相続手続き一覧

5-1.準確定申告(死亡から4か月以内)

準確定申告とは、亡くなった方の所得税について、相続人が代わって行う確定申告のことです。対象となる所得は、その年の1月1日から死亡日までに生じた所得です。
個人事業主や不動産所得があった方は原則として申告が必要です。また、給与所得者であっても、雑所得や不動産所得などがある場合は準確定申告が必要になることがあります。

申告期限は、相続の開始があったことを知った日の翌日から4か月以内(通常は死亡日の翌日から4か月以内)で、提出先は亡くなった方の住所地を管轄する税務署です。

なお、準確定申告が不要な場合でも、申告によって所得税の還付を受けられるケースがあります。ただし、受け取った還付金は相続財産となり、相続税の課税対象となる点に注意しましょう。

5-2.相続税申告(死亡から10か月以内)

相続税は、亡くなった方から相続する財産に対して課税される国の税金です。しかし、すべての相続に税金がかかるわけではありません。

相続税には基礎控除があり、相続財産の合計額がこの基礎控除額を下回る場合は、相続税はかかりません。基礎控除額は、「3,000万円+(600万円×法定相続人の数)」で計算します。

相続税の申告・納付は、相続の開始があったことを知った日の翌日から10か月以内(通常は死亡日の翌日から10か月以内)に行う必要があります。

6. 相続登記(3年以内)

相続登記とは、亡くなった方から相続人へ不動産の名義を変更する手続きです。相続によって不動産を取得したことを知った日から3年以内の申請が義務化されており、正当な理由なく期限を過ぎると過料の対象となる場合があります。将来的なトラブルを防ぐためにも、相続が発生したら早めに手続きを進めましょう。

6-1.不動産の相続登記(法務局)

相続登記は、亡くなった方名義の不動産を相続人名義へ変更する手続きです。不動産を相続した場合は、不動産の所在地を管轄する法務局へ申請します。

相続登記を行うことで、相続人が正式な所有者として認められ、不動産の売却や賃貸、担保設定などが可能になります。反対に、登記をしないまま放置すると、相続人が増えて権利関係が複雑になり、将来的に手続きが困難になるおそれがあります。

申請方法は、法務局窓口への持参のほか、郵送やオンライン申請も可能です。遺言書がある場合はその内容に従い、遺言書がない場合は遺産分割協議書などを添付して申請します。

6-2.名義変更に必要な書類・準備物

相続登記には、被相続人や相続人の身分関係を証明するための書類が必要です。必要書類は遺言書の有無や相続方法によって異なりますが、主に以下のような書類を準備します。

【主な必要書類】
・被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本
・被相続人の住民票除票または戸籍の附票
・相続人全員の戸籍謄本
・不動産を取得する相続人の住民票
・固定資産評価証明書
・遺言書(ある場合)
・遺産分割協議書および相続人全員の印鑑証明書(遺産分割協議を行った場合)

書類に不備があると登記完了まで時間がかかるため、事前に法務局や専門家へ確認しながら準備を進めると安心です。

7.名義変更・解約などの実務手続き(期限なし/早めに)

相続手続きには法定期限があるものだけでなく、期限はないものの早めに行うべき手続きも数多くあります。

特に銀行口座や保険金請求、公共料金の契約変更などは、日常生活や財産管理に直接関わるため、相続人間で役割分担を決めながら進めることが重要です。

7-1.金融機関への口座凍結連絡

金融機関は、口座名義人の死亡を把握した時点で口座を凍結します。
相続人の中には、生活費や葬儀費用の支払いのために口座を維持したいと考える方もいますが、亡くなってから無断で預金を引き出すと相続トラブルにつながる可能性があります。
相続人同士で情報共有を行い、適切な手続きを進めることが大切です。

7-2.銀行口座・預金の解約・名義変更

金融機関が口座名義人の死亡を把握すると、口座は凍結され、預金の引き出しや振込ができなくなります。
預金を引き継ぐためには、金融機関所定の相続手続きが必要です。
一般的には、戸籍謄本、遺言書または遺産分割協議書、相続人の本人確認書類などを提出して解約や払戻しを行います。金融機関ごとに必要書類が異なるため、事前に確認しましょう。

7-3.公共料金・携帯電話・インターネット・クレジットカードの名義変更・解約

電気・ガス・水道・携帯電話・インターネットなどの契約は、利用を継続する場合は名義変更、利用しない場合は解約を行います。
また、クレジットカードは不正利用防止のため、亡くなられたらできるだけ早くカード会社へ連絡し、利用停止手続きを行うことが重要です。

7-4.SNS・サブスク・デジタル遺品の整理

近年は、SNSアカウントや動画配信サービス、クラウドストレージなどの「デジタル遺品」への対応も重要になっています。

放置すると利用料金が継続して発生する場合や、個人情報が残り続ける場合があります。スマートフォンやパソコンの中の契約情報を確認し、必要に応じて解約やアカウント削除を行いましょう。

7-5.生命保険金・損害保険金の請求

生命保険に加入していた場合、受取人は保険会社へ死亡保険金を請求できます。
請求には、保険証券、死亡診断書、受取人の本人確認書類などが必要です。生命保険金は受取人固有の財産であり、原則として遺産分割の対象にはなりません。
また、傷害保険など損害保険契約についても、保険金請求や契約解約の手続きが必要になる場合があります。

7-6.自動車・バイクの名義変更

自動車やバイクを相続する場合は、運輸支局や軽自動車検査協会で名義変更を行います。
名義変更をしないままでは売却や廃車手続きができないほか、自動車税の通知が旧名義人宛てに届き続ける可能性があります。遺産分割の内容が決まったら早めに手続きを進めましょう。

7-7.葬祭費・埋葬料の請求(国民健康保険・健康保険)

亡くなった方が国民健康保険や後期高齢者医療制度に加入していた場合は「葬祭費」、健康保険に加入していた場合は「埋葬料」を受け取れる場合があります。
支給額や申請期限は制度によって異なるため、市区町村や健康保険組合などへ確認し、忘れずに請求しましょう。

7-8.未支給年金の請求(5年以内)

亡くなった方が受け取るはずだった年金のうち、死亡時点で未払いとなっている年金は「未支給年金」として一定の遺族が請求できます。
請求期限は死亡日の翌日から5年以内です。年金事務所または街角の年金相談センターで手続きを行います。

7-9.遺族年金の請求(5年以内)

亡くなった方が国民年金や厚生年金に加入していた場合、一定の要件を満たす遺族は「遺族年金」を受け取ることができます。遺族年金には、主に「遺族基礎年金」と「遺族厚生年金」があり、亡くなった方の加入状況や遺族の状況によって受給できる年金が異なります。

遺族年金を受け取るためには請求手続きが必要で、自動的に支給されるわけではありません。手続きは年金事務所または街角の年金相談センターで行います。請求には、死亡診断書の写しや戸籍謄本、受取口座が確認できる書類などが必要です。

なお、遺族基礎年金や遺族厚生年金には原則として5年の時効があるため、受給できる可能性がある場合は早めに確認しましょう。また、未支給年金と遺族年金は別の制度であるため、それぞれについて請求手続きが必要です。

8.まとめ

親が亡くなった後は、死亡届や火葬許可証の取得といった直後の手続きから、相続放棄、準確定申告、相続税申告、相続登記まで、多くの手続きを期限内に進める必要があります。
特に、相続放棄は3か月以内、準確定申告は4か月以内、相続税申告は10か月以内、相続登記は3年以内と、それぞれ重要な期限が定められています。
また、銀行口座の解約や保険金請求、各種名義変更など、期限はなくても早めに対応すべき手続きも少なくありません。
相続手続きは内容が多岐にわたり、財産調査や相続人の確定、税務申告など専門知識が必要になる場面もあります。手続き漏れや相続トラブルを防ぐためにも、不安がある場合は相続に詳しいOAG税理士法人へお気軽にご相談ください。

 

監修者情報
OAG税理士法人 相続チーム 部長奥田 周年

専門分野:相続税、事業承継

(東京税理士会:登録番号83897) 1994年OAG税理士法人に入所。承継相続分野における第一人者として、相続を中心とした税務アドバイスを行うほか、事業承継や相続関連で多数の著書を執筆、監修するなど、幅広く活躍している。