【相続】住民票の除票の取り方|コンビニ不可?必要書類・取得方法・注意点を解説
- 相続手続き
「家族が亡くなり、相続手続きを進めようとしたら『住民票の除票』が必要だと言われたけれど、どこでどうやって取ればいいの?」とお悩みではありませんか?
住民票の除票は、亡くなった方の最後の住所を証明する重要な書類です。しかし、通常の住民票のようにコンビニエンスストアで手軽に取得できるわけではなく、取得場所や申請方法にいくつかの注意点が存在します。
本記事では、住民票の除票が必要になる主な相続手続きから、正しい取得方法、別世帯の家族が請求する際の必要書類、そして自治体によって除票が破棄されていた場合の対処法まで、相続手続きのポイントを徹底解説します。
目次
1. 住民票の除票とは
住民票の除票(じょひょう)とは、転出や死亡などにより、その住所地での住民登録が抹消された住民票のことです。
通常、人が亡くなると市区町村役場に死亡届を提出しますが、これによってその方の住民票は自動的に「除票」という扱いになります。相続手続きにおいて除票は、亡くなった方(被相続人)の最後の住所を公的に証明する書類として、非常に多くの場面で提出を求められます。
図1:住民票の除票
2. 相続で住民票の除票が必要な手続き
相続が発生すると、具体的にどのような場面で住民票の除票が必要になるのでしょうか。代表的な5つの手続きをご紹介します。
2-1. 預貯金の払い戻し
被相続人の銀行口座(金融機関)の凍結を解除し、預貯金の払い戻しや名義変更を行う際に除票が必要になります。金融機関に登録されている住所と、被相続人の最後の住所が同一であることを確認するためです。
2-2. 相続登記など各種名義変更
実家や土地などの不動産を相続し、法務局で名義変更(相続登記)を行う際にも必要となります。登記簿上の所有者の住所と、被相続人の最後の住所が一致しているかを法務局が確認するために提出が必要になります。また、自動車や株式などの名義変更でも同様に必要になるケースが多いです。
2-3. 遺族年金の請求
年金事務所で遺族年金や未支給年金の請求を行う際、被相続人と請求者が生計を同じくしていたことを証明する書類として、住民票の除票が必要となることがあります。
2-4. 相続放棄
家庭裁判所で「相続放棄」の申述を行う際にも、被相続人の住民票の除票(または戸籍の附票)の提出が求められる場合があります。被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所を特定するためです。
2-5. 相続税の申告
相続税は、被相続人が亡くなった時点の住所地を管轄する税務署に申告・納税します。そのため、被相続人の最後の住所を証明する書類として住民票の除票が必要となる場合があります。
また、土地の評価額が最大80%減額される「小規模宅地等の特例」の適用に当たり、被相続人の住所や居住状況を確認する資料として利用されることもあります。
3. 住民票の除票の取得方法
ここからは、実際に除票を取得するためのルールや具体的な手続きについて解説します。
※取得方法や必要書類は自治体によって異なる場合があるため、事前に自治体のホームページで確認しておくと安心です。
3-1. 取得できる場所【要注意:コンビニ不可・広域交付不可】
住民票の除票は、原則として被相続人の最後の住所地(住民登録地)の市区町村で取得します。多くの自治体では窓口または郵送で請求できます。
通常の住民票のようにマイナンバーカードを使ってコンビニエンスストアのマルチコピー機で発行することはできません。コンビニで取得できるのは「現在お住まいの方の住民票」のみとなっており、死亡などで除かれた住民票(除票)は発行対象外だからです。
また、2024年(令和6年)3月より、本籍地以外の役所で戸籍謄本を取得できる「戸籍の広域交付」制度も開始されましたが、住民票の除票はこの広域交付の対象外です。最寄りの役所で取得することはできませんので注意が必要です。
図2:住民票の除票の取り方
3-2. 請求できる方【家族でも証明書類が必要】
被相続人の住民票の除票を請求できるのは、正当な理由を持つ利害関係人である相続人や債権者、またはそこから委任された代理人です。
被相続人と同じ世帯であった家族でも、本人確認書類に加え、相続関係や利害目的を確認する書類の提示を求められることがあります。
- 相続関係を証明する書類
自分に正当な請求権(相続権)があることを証明するため、戸籍謄本などの提示が求められます。 - 「何に使うか」「どこに出すか」の明記
被相続人の除票を相続で使う場合は、相続人の方が利用目的を明確にした上で申請することができます。 - 代理人が行く場合は「委任状」
相続人以外の親族や、第三者が代理で除票を取得しに行く場合は、相続人からの「委任状」の提出が別途必要になります。
3-3. 必要書類と費用
役所の窓口、または郵送で実際に手続きを行う際の必要書類と費用は以下の通りです。前述の通り、「請求者自身が利害関係人(相続人など)であり、正当な利用目的があること」を証明する書類を準備します。
【窓口で取得する場合の必要書類】
-
住民票の写し等交付請求書
役所の窓口に備え付けられているもの、または自治体のホームページからダウンロードして記入します。 -
窓口に来る方の本人確認書類
運転免許証、マイナンバーカードなど(顔写真付きがない場合は健康保険証や年金手帳など2点)。 -
相続関係を証明する書類(戸籍謄本など)
被相続人と請求者の関係が分かるもの。
※最後の住所地の役所で、被相続人と請求者が同じ住民票に載っていた履歴が確認できる場合に限り、提示を省略できる自治体もありますが、二度手間を防ぐため持参することをおすすめします。 -
発行手数料
1通につき300円〜400円程度(市区町村により異なります)。
【郵送で請求する場合の追加書類】
郵送で請求する場合は、上記の「1〜3」に加えて、以下の2点を同封します。
- 返信用封筒: 自分の住所氏名を記入し、切手を貼ったもの。
- 定額小為替: 手数料分の金額を郵便局の窓口で購入します(小為替には何も記入しないでください)。
事前に最後の住所地の市区町村ホームページを確認し、不足がないように準備しましょう。
4. 取得時の注意点
4-1. 住民票の除票が破棄されていた場合
過去に発生した相続の手続きを行っていなかった場合や、数年前に亡くなった方の遺産分割協議を今になって行う場合に直面するのが、住民票の除票の「保存期間」の問題です。
住民票の除票には、法律で定められた明確な保存期間が存在します。
- 現在のルール: 2019年(令和元年)6月20日の住民基本台帳法改正により、保存期間が従来の5年から150年間へと大幅に延長されました。そのため、これ以降に亡くなった方のデータについては、長期間にわたり問題なく取得が可能です。
- 過去のルール: 法改正前の除票の保存期間は「5年間」しかなく、自治体によって除票がすでに廃棄されており、取得できない場合があります。
万が一、窓口で「すでに保存期間が過ぎて破棄されている」と言われても、慌てる必要はありません。代替手段として、本籍地の役所で「戸籍の附票(こせきのふひょう)」を取得すれば、除票と同じように住所の履歴を証明する書類として相続手続きに使うことができます。
4-2. 記載事項【本籍は記載ありを選択】
役所の窓口で申請書を記入する際、「本籍・筆頭者」や「マイナンバー」を記載するか省略するかを選ぶ項目があります。
相続登記、銀行口座の解約、自動車の名義変更などの相続手続きにおいて、被相続人の除票には「本籍地・筆頭者」の記載が必要となる場合が多いです。「本籍・筆頭者あり」で取得すると取り直しを防ぎやすくなります。
一方で、被相続人の住民票の除票にマイナンバーを記載することはできません。自動的に「省略」された状態で発行されます。
5. まとめ
相続手続きにおける「住民票の除票」の取り方について、重要なポイントを振り返ります。
- コンビニや戸籍の広域交付制度では取得できず、最後の住所地の役所窓口または郵送で請求する
- 相続人が取得する場合は、相続関係や利用目的を確認する書類が必要となることがある
- 除票が破棄されている場合は、戸籍の附票で代替できる場合がある
- 相続手続きでは、本籍・筆頭者の記載を選択すると取り直しを防ぎやすい
除票の取得は、相続手続きという長い道のりの最初の一歩に過ぎません。実際には、この後に被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本を集めたり、遺産分割協議書を作成したり、複雑な税務計算を行ったりといった多くの手続きが必要になります。
「平日に何度も役所に足を運ぶ時間がない」「集めた書類の内容に不備がないか不安である」「相続税の申告が必要かどうか判断できない」といったお悩みがある場合には、ぜひOAG税理士法人へご相談ください。書類の収集代行から、相続税申告、司法書士と連携した名義変更まで、相続に関する手続きを総合的にサポートいたします。

- 監修者情報
- OAG税理士法人 相続チーム 部長奥田 周年
専門分野:相続税、事業承継
(東京税理士会:登録番号83897) 1994年OAG税理士法人に入所。承継相続分野における第一人者として、相続を中心とした税務アドバイスを行うほか、事業承継や相続関連で多数の著書を執筆、監修するなど、幅広く活躍している。



