• ケーススタディ

持分なし医療法人へ貸している土地の小規模宅地の特例

Q 私は医療法人の理事長をしています。当法人は10年前に私の父が設立した出資持分のない医療法人で、前理事長である私の父が所有する土地の上に当法人が診療所を建設し、父に対して当法人から土地の賃貸借契約締結時に権利金を支払ったうえで毎月地代を支払っております。もし、この状態で父が亡くなった場合、当該診療所の土地は相続税の計算上どのように評価されるのでしょうか。

A 医療法人には、大別しますと出資持分のある医療法人と出資持分のない医療法人の2つの類型があります。両者では相続税法上の取扱いが異なり、出資持分があるかないかは相続税の計算上、非常に重要です。
土地の評価については、医療法人の類型に関わらず、その土地の路線価に基づいて評価されます(路線価地域の場合)。路線価に土地の形状等を勘案し、㎡単価を算出し、その土地の地積を乗じて評価額を算出します(自用地としての価額)。そのうえで、ご質問のケースでは、次の算式で計算した値が評価額となります。

   自用地としての価額 - 自用地としての価額 × 借地権割合

さらに、土地の評価については小規模宅地の特例という制度がございます。貸地の場合に適用可能性があるものとしては、「特定同族会社事業用宅地等」「貸付事業用宅地等」の2つが考えられます。ここで、出資持分のない医療法人の場合、「特定同族会社事業用宅地等」の要件を満たすことはできません(要件については割愛いたします)。

一方で、貸付事業用宅地等については出資持分のない医療法人であっても要件を満たす可能性がございます。要件を満たしますと、当該土地のうち200㎡までを限度として、評 価額の50%が減額されます。

【計算例】診療所の土地400㎡、路線価方式によって算出した㎡単価200千円、借地権割合60%の場合
  土地評価額:400㎡×200千円 = 80,000千円   
        80,000千円 - (80,000千円×60%)= 32,000千円(A)
  小規模宅地の特例(貸付事業用宅地等):(A)×200㎡/400㎡×50%
         = 8,000千円(B)

   (A)-(B)= 24,000千円

※土地の無償返還に関する届出書の提出がある場合やご自宅の土地も所有されている場合など、状況次第では異なる計算結果になることもございます。
詳しくはOAG税理士法人までお問い合わせください。 

関連する質問