株の相続手続きは4ステップで完了!株の引き継ぎ方を簡単解説
- 相続手続き
「お父さんの相続手続きをしなければならないけど、生前からやっていた株式投資についてどうやって手続きをしたらいいのだろうか。IDとかパスワードもわからないし。」
ご自身がお父さまの株を財産として相続することになった場合、どのように手続きをすればご自身の財産になるのかどうか、ご不安ではないでしょうか。
手続きをするには、亡くなられた方の株を相続することを証券会社に伝え、亡くなられた方の証券口座の株をご自身の証券口座に移してもらうことで株の相続手続きが完了します。ご自身の証券口座に移った株は、売却して現金化することも、売却せずにそのまま保有して配当金や株主優待等をもらうこともできます。
まずは、証券会社へ連絡して、手続き方法を確認することから始めましょう。
本記事では、株のことがよくわからない方が株の相続手続きをスムーズに終えるための知識や手順についてご説明していきます。
上場株に限定してご説明しています。非上場株の場合には税理士に相談しましょう。
図1:株の相続手続き
目次
1.株の相続手続き完了までの4ステップ
まずは亡くなられた方が証券口座を開設している証券会社に連絡して、相続手続きをしたい旨を伝えます。
証券会社から手続きに必要な書類がご自宅に送られてきますので、その書類を記入のうえ必要書類を揃えて提出すれば手続きが完了します。口座が複数ある場合はそれぞれの証券会社での手続きが必要となります。
具体的な手続きの流れを4ステップでご紹介します。
図2:株の相続手続き4つのステップ
1-1.ステップ1.証券会社を確認して連絡する
亡くなられた方が生前に証券口座を開設していた証券会社に連絡を入れるためには、どこの証券会社と取引をしていたのかを確認しておく必要があります。
亡くなられた方の所有されていた書類などから判断がつかない場合には、証券保管振替機構へ開示請求をします。株券は電子化されているので、登録済加入者情報の開示請求をすることで、特定することができます。
証券会社が確認でき相続が発生した旨を連絡すると、証券会社指定の届出書が送付されます。
<証券会社の特定方法>
・自宅に保管されている口座開設の控え
・証券会社から届いた取引報告書
・証券会社から届いたパンフレット
・インターネットのブラウザの閲覧履歴
・証券保管振替機構で登録済加入者情報の開示請求をする
1-2.ステップ2.必要な書類を用意する
証券会社から届いた届出書を提出する際に、添付書類を求められます。
証券会社ごとに書類が異なる場合がありますので必ず個別に確認が必要となりますが、主には次の書類が必要となります。
また、ご自身の証券口座が必要となります。
<主な必要書類>
・証券会社より郵送された相続届出書
・遺言書、または遺産分割協議書(作成されている場合のみ)
・亡くなられた方の戸籍謄本(出生から死亡までがわかるもの)
・相続人全員の戸籍謄本
・相続人全員の印鑑証明
1-3.ステップ3.必要書類を提出する
証券会社指定の届出書をすべて記入し、ステップ2でご用意いただいた必要書類を提出します。
必要書類は郵送または直接証券会社に提出します。
1-4.ステップ4.株を移す手続きが完了するのを待つ
相続手続きの書類が提出されると証券会社は、亡くなられた方の証券口座から相続される方の証券口座へ株を移す手続きを行います。
手続きに必要な書類を提出してからご自身の証券口座に株が移るまでの期間は、書類等に不備がなければ約3週間となります。
株の相続手続きに期限はありませんが、相続税がかかる場合は相続開始から10ヶ月以内が申告期限となりますので、株の評価額を算出するためには早めにお手続きをしましょう。
2.株式の評価方法
上場株式とは、証券取引所で売買されている株式をいいます。上場株式は株価が新聞・インターネット上で公開されていますので、ご自身で確認することができます。
上場株式の株価は日々変動するため、相続税の計算で使用する「終値」をいつの日付のものにするかにより損得が発生します。相続した方が極端に不利益にならないための配慮から、次の4つの株価のうち『一番低い株価』を用いることになっています。証券会社へ「残高証明書」の発行を依頼することで、亡くなられた日の株価の4つの終値を調べることができます。
<終値の4つのパターン>
①亡くなられた日の終値(原則)
②亡くなられた日の月の全終値の平均額
③亡くなられた日の前月の全終値の平均額
④亡くなられた日の前々月の全終値の平均額
亡くなられた日の終値(①)は、亡くなられた日に取引がなかった場合は、その前後で一番近い日の終値(複数ある場合はその平均額)となります。
※上場株式、非上場株式の評価額について詳しくはこちらをご覧ください。
3.利益が出ている場合は準確定申告が必要になる
亡くなられた年の1月から亡くなられるまでの間に、亡くなられた方が株の売買により20万円以上の利益を出されていた場合には準確定申告が必要となります。準確定申告には亡くなられてから4ヶ月以内という期限がありますのでご注意ください。
※準確定申告について詳しくは、こちらを参考にしてください。(当サイト内)
ただし、証券口座が「特定口座(源泉徴収あり)」で開設されている場合には分離課税としてすでに税金は徴収済ですので申告は不要です。準確定申告が必要な口座のタイプは「特定口座(源泉徴収なし)」または「一般口座」です。
図4:亡くなられた方の確定申告をする
※株の利益に対する所得税について詳しくは、こちらを参考にしてください。(当サイト内)
4.株を複数人で相続する方法は2つ
株を複数の相続人で相続することになった場合、手続き方法は2つあります。
<株を複数人で相続する手続き方法は2つ>
①代表の方の証券口座へ移して株を売却、現金化して分配する
②各相続人がそれぞれに証券口座を作り、相続した割合で株を相続する
※株の評価について詳しくは、こちらを参考にしてください。(当サイト内)
5.まとめ
株の相続の手続きは相続人の口座に株を移すことで完了します。
必要書類を集めるなど多少の手間と時間がかかりますが、株を移す手続きを終えない限りは、相続した株を売却して現金化したり、配当金をもらうこともできません。
また、手続きの期限はありませんが、相続税がかかる場合は申告の期限を考慮して、株の評価額を確認するためにも早めに株の相続手続きを進めて頂ければと思います。
株の手続きだけであれば、ご自身でスムーズに終えることができますが、日々価値が変化する株の相続税評価等につきましては、相続に強い税理士へ相談することをおススメ致します。