SO0339
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket

亡くなられる前にやっておくこと!終活で押さえるべき3つのポイント

「終活」という言葉を聞いたことがあると思います。
終活なんて縁起でもない・・・、我が家は揉めることもないだろうし、子どもたちが後のことはしっかりやってくれるだろう・・・と思っている気持ちの反面、病気になってからでは遅いから何かできることはやっておいた方がよいかな・・・と色々悩まれていらっしゃると思います。

「亡くなられる前にやっておくこと(終活)」とは、ご自身が思い描く理想の最期を迎えるために、今だからできることを、じっくり時間をかけて、きちんと整理をしておくことです。

ご自身の相続に対する希望や願いを叶えるため、そして大切なご家族の将来を守るために、どのように考えて準備を進めていけばよいのか、本記事でご紹介いたします。

1. 亡くなられる前やっておく「大事な3つ」のこと

まず始めに、「何をしたらよいか」やるべきことをリストアップしていくことが大切です。
いざというときに、残されたご家族が途方に暮れ、困ってしまうことがないように、ご自身の頭の中に浮かぶ「伝えておきたいこと」、「記録として残しておく必要があると思うこと」、「ご自身が望んでいる最期への思い」などをノートなどに書き出してみてください。
押さえておくべき大事な項目は、以下の3つと考えて整理してみましょう。次の章よりさらに詳しくご説明いたしますので参考にしてくださいね。

【亡くなられる前にやっておく大事な3項目】
 ① 相続財産のこと
 ② 個人的な情報や思い出の品の整理
 ③ 理想的な最期について望むこと

2. 相続財産について思いを伝えるためにやっておくこと

相続について、財産の状況を整理して、引き継ぎ方に関するご自身の思いをきちんと伝えることは、とても大事なことです。財産の詳細は、個人情報にあたるため、いくらご家族であっても、金融機関などはなかなか情報を開示してはくれません。いざという急を要するときは、特に混乱していて慌ててしまい、手続きに大変苦労するケースが多いというのが、相続の現実です。

2-1.ご自身の財産を正確に把握する

まずはご自身の財産を正確に把握しておきましょう。不動産、預貯金、有価証券、その他生命保険、年金、宝飾品などのプラスの財産のほかに、借金などのマイナスの財産も含みます
マイナスの財産なんて知らせたくない、と思う方もいらっしゃるかもしれません。しかし、いざ相続となって相続人が知らずに手続きを進めて、後からマイナスの財産の存在を知り、相続放棄をしようとしても、放棄できる期限が過ぎてしまえば、もう借金を背負うしかなく、揉め事となる可能性を否めません
マイナスも含め、すべての財産の内容と、おおよその金額を記録しておきましょう。
また、クレジットカードや口座、会員サービスなどは整理して、解約できるものは先にしておきます。不要な年会費などを削減できるメリットもありますね。
財産状況を再確認し、「どなたに、何を引き継いでもらいたいか」、ご自身の考えを整理していきます。

図1:ご自身の財産を正確に把握する

 

※相続財産とは何か、について詳しくはこちらを参考にしてください。(当サイト内)
関連記事

2-2.相続手続きに必要な情報はすぐにわかるようにまとめる

相続手続きでは、引き継ぐために亡くなられた方の口座を解約したり、不動産などは名義変更の手続きをおこないます。口座がある金融機関や通帳、預貯金以外の財産の情報を正しく把握するには、かなりの時間と手間を要し、とても大変です。

相続手続きが終わった後に、新たな財産が見つかると、再び相続人同士で話し合いをおこない、もう一度手間のかかる手続きをやり直さなければなりません。正確でスムーズに相続手続きをおこなってもらうには、金融機関の口座情報や通帳、カードなどの保管場所、その他の財産の情報などを一覧にまとめ、どなたがみても把握しやすくしておきましょう。

【相続手続きに必要な情報】
・預貯金の通帳、カード(金融機関の名称、支店名、口座番号など)
・株式、債券、投資信託(証券会社の名称、支店名、銘柄、株数など)
・生命保険、個人年金、損害保険、公的年金の情報(契約者、受取人の情報など)
・借金に関する情報(借入金残高証明書、返済予定表など)
・預金や株などのインターネット取引(金融機関の名称、IDやパスワードなど)

図2:相続手続きに必要な書類はわかるようにしておく

2-3.相続手続きに必要な書類をあらかじめ用意しておく

相続手続きには様々な書類が必要になります。例えば、不動産であれば、普段は見慣れない評価証明書や、名寄帳、登記簿謄本、そのほか戸籍謄本や住民票の写しなどが必要となります。特に戸籍謄本は、亡くなられた方の場合、ご逝去の時点から出生時まで遡り、すべて繋がった戸籍を揃える必要があります。

本籍地を変更されていない方の場合でも、戸籍法の改正などで、少なくとも3通の戸籍を取得する必要があると思われます。結婚や離婚、転籍などを繰り返されている場合は、戸籍が複数存在している可能性があり、すべて繋がった戸籍一式を揃えるには、大変な手間と時間を要します。

書類によっては、使用期限が設けられているものもありますが、一度一式を揃えておくと、それを手本として簡単に請求することができますので、手続きの効率があがります。

【予め用意して、まとめておく必要書類】
・ご自身の出生から現在までの戸籍謄本
・年金手帳、年金証書
・登記事項証明書、固定資産税納付通知書、名寄帳、評価証明書
・自動車車検査証
・通帳の写し
・株式の残高報告書
・医療費の領収書                 ・・・など

2-4.分割内容を考えて遺言書として残す

ご自身の財産を確認し、不要な口座はできる限り解約しておきます。整理ができたら、財産の分け方について考えます。どの財産を、だれに、どのように引き継いでもらうべきかを検討します。
財産の分け方は、遺言書として残すことで、ご自身の思いを相続人の方に伝えることができる上、遺言書は最優先されると法律で定められているため、ご自身が望む相続を実現できる可能性が高いといえます。

ただし、分割割合は、特定の相続人にだけ偏った内容とならないように注意しましょう。相続人の方にも最低限財産を引き継ぐ権利(遺留分)がありますので、たとえ遺言書であっても、それを侵すことはできません。

※遺留分について詳しくは、こちらを参考にしてください。(当サイト内)
関連記事

2-5.自宅に保管している「へそくり」も相続税の対象

長年コツコツ貯めたタンス預金などのへそくりは、常識の範囲を超えない程度の金額であれば問題ありません。しかし、高額になってくると、へそくりの元となったお金は、誰のものであったのか?が問題になることがあります。

例えば、奥さまのへそくりが、ご主人さまの稼ぎにより貯められたものであった場合、このお金はご主人さまの財産とみなされます。また、高額なへそくりを申告せずに、税務署の指摘を受けてしまった場合には、相続人の方々に重いペナルティ税が課せられる可能性があります。

お金の動きは、税務署が一番確認する点であるため、高額なへそくりなどがある場合は、そのお金の原資がだれのものであるかを明確にしておきましょう。

図3:へそくりやタンス預金は相続税の対象になる

※相続における「へそくり」について詳しくは、こちらを参考にしてください。(当サイト内)
関連記事

※タンス預金について詳しくは、こちらを参考にしてください。(当サイト内)
関連記事

3.個人的な持ち物や情報の整理

個人的な持ち物は、いざという相続の際に、どのように手続きすべきなのか、悩むケースが多々あります。携帯電話(スマートフォン)やパソコン本体に大事な情報を保存していた場合、開示できる術を残しておかなければ、相続人に確認してもらえない可能性があります。

思い入れのある財産などで、その価値をご自身しか把握されていないものもあるでしょう。残されるご家族に大切に引き継ぎたい、もしくは処分してもらいたいものなどは、財産一覧に加えて、適切な手続きを相続人がおこなえるように記録を残しておきましょう。

3-1.パソコンやスマートフォン、携帯電話の場合

パソコンやスマートフォン、携帯電話を使用されている方は多く、指紋認証やパスワードを設定している場合、保存されている情報を勝手に見られる心配はありませんが、いざという相続のときには処理の仕方が分からず、とても困ってしまうことになります。

見られたくない内容は、あらかじめ削除しておきましょう。残しておきたい大事な情報は、USBメモリーやメモリーカードといった外部の記録媒体に保存しておくとよいでしょう。

また、SNSのアカウントがある場合や、ネット通販でクレジットカード情報を登録している場合などは、すでに利用していなければ、早めに情報を削除しておくか、処理する際に必要となるIDとパスワードを控えておき、適切な処理をしてもらえるようにメモしておきましょう。処理の方法まで明記しておけば、相続手続きはスムーズに進められます。

個人的な大事な情報は、保険証券などの万が一の際に必ず確認する大事な書類と一緒に保管しておくことをお勧めいたします。

図4:パソコンやスマートフォンのID,パスワードも整理しておく

3-2.手紙、写真などの思い出の品はご自身で整理を

手紙や写真など、ご自身にとって大切な思い出の品も整理されておくことをお勧めいたします。残されるご家族がいつまでも大切に保管することができるよう、アルバムなどにまとめておくとよいでしょう。思い出の品を整理することは、忘れかけていた大事なことを思い出すよいきっかけとなることがあります。

ご自身にとって大切なお人形などは、お寺などで供養していただくことができます。どうしても残しておきたいもの以外は、あらかじめ別の方にお譲りする、もしくはご自身で処分されておくとよいでしょう。

3-3.貴金属の評価額を確認しておく

指輪やネックレスなどの貴金属も出来る限り整理しておきましょう。手元に残しておきたいものを選び、それ以外はお子さまに譲る、もしくは思い切って売ってしまうなど、処分の方法はご自身でじっくり決めていただければと思います。

譲られる場合には、後にトラブルとなることがないように、十分に配慮しておく必要があります。手元に残しておくもので、高価なものがあれば、専門店で評価額を調べてもらい、鑑定書などと共に大切に保管されておくとよいでしょう。

4. 理想的な最期の為に望むことを記録しておく

病気になってしまってからでは、なかなか伝えられないご自身の思いや願いは、あらかじめ明確に記録を残しておきましょう。

4-1.病気や介護に関する希望は明確に

病気や介護に関する希望は、理由を含め、意思表示書として残しておきましょう。例えば病気になった際に、「病名や余命の告知はなぜ受けるのか」「延命治療に関する希望、その理由」などは詳細に記しておきましょう。

いざというとき、ご家族は苦渋の選択を迫られることになります。あらかじめご自身の思いや願いが記されていれば、その内容を最優先と考え、ご家族も納得した上で、速やかに対応することができますね。

【病気や介護に対する願いとは】
・介護が必要になったときの希望
・病気や余命の告知に関する希望
・延命治療を希望するか
・臓器提供を希望するか ・・・など

4-2.友人への連絡やペットに関すること

ご自身に万が一のことがあった場合に、そのことを知らせてほしい友人、知人、会社関係者などの連絡先は、ご家族がすぐに分かるように記録しておきましょう。

ペットについて、もしご家族には頼めない状況であれば、ご自身の希望する預け先をあらかじめ決めておき、すぐに引き取ってもらえるように手配をしておきましょう。

4-3.葬儀社や遺影などはあらかじめ決めておく

最近では亡くなられる前に葬儀社を決めておく方も多くいらっしゃいます。深い悲しみの中でご家族が慌てて判断して失敗してしまうことがないように、葬儀に関する要望を書き記しておきましょう。

理想の最期を実現するためには、あらかじめご自身の考えをまとめていることを、ご家族に把握しておいてもらうことも大切です。遺影写真について希望するものがあれば、用意しておきましょう。

【葬儀について決めておくこと】
・依頼したい葬儀社(葬儀の内容)
・喪主を務めてほしい人  
・遺影に使ってほしい写真
・お墓について
・納骨の方法    ・・・など

5. 遺言書とエンディングノートの違い

遺言書とエンディングノートは、それぞれが果たす役割が異なります。違いを正しく理解した上で、ご自身の状況にあったものを選択して、じっくり時間をかけて、納得のいく準備を進めていきましょう。

図5:遺言書とエンディングノートの違い

 

5-1.法的効力はないが生前のことも記せるエンディングノート

エンディングノートとは、いざという相続のときにご家族が困らないよう、伝えたいことをまとめたものです。書き方は自由ですので、生前のことも、亡くなられた後のことも、書き記すことができます。

例えば、ご自身のこれまでの人生を振り返った思い出話や、家族に伝えたいメッセージを書いたり、介護や葬儀に対する希望などを書いておきます。エンディングノートには法的効力はないため、強制力はありませんが、「亡くなられる前にやっておくこと」を整理するには効果的で、気軽に作成できるメリットがあります。

※エンディングノートについて詳しくは、こちらを参考にしてください。(当サイト内)
関連記事

5-2.法的効力を持ち相続に関する希望や思いを記す遺言書

遺言書とは亡くなられた後の相続に関する希望、ご自身の思いを記すものです。エンディングノートとは異なり、生前のことは書けません。

遺言書は法的な効力を持つので、ただ書けばよいというものではなく、財産内容が特定でき、引き継ぎ方を明確に示し、書き方も法的に定められた様式で整える必要があります

財産の引き継ぎ方について、明確な考えがある場合に作成しておくと、ご自身の思いを実現しやすくなります。相続人以外の方に、財産を引き継ぎたいという思いがある場合は、遺言書を残されることをお勧めいたします。作成には手間や費用がかかる可能性がありますが、亡くなられた方の思いとして最優先される遺言書は、相続手続きも進めやすく、トラブルなどを防ぐメリットがあります。

※遺言書について詳しくは、こちらを参考にしてください。(当サイト内)
関連記事

5-3.早めの準備で両方作成すると安心

では、エンディングノートと遺言書はどちらを作成したらよいのでしょうか。

エンディングノートは書き方も自由ですし、相続のことだけではなく、病気などで意思表示ができなくなった際の希望を記しておくことで、ご自身が望む最期を迎えることができます。亡くなられた方のお気持ちが綴られたノートは、ご家族にとって、かけがえのない宝物となることでしょう。
一方、遺言書は亡くなられた時点で効力を発し、最優先されるべきものとして、相続人は遺言書に従って相続手続きを進めていくため、相続トラブルを防ぐ効果があります。

生前から相続後の願いを、すべて確実に実現するには、エンディングノートと遺言書の両方を残されると安心です。

6.まとめ

亡くなられる前にやっておくこととは、「相続に関する財産のこと」、「個人的な情報や持ち物のこと」、「介護や治療、葬儀に関して希望すること」など、大きくは3つの項目に分けて整理していきます。

残されるご家族が相続手続きをスムーズに進め、その後の人生を安心して過ごせるようにすることが一番の目的となりますが、元気なときに、じっくり時間をかけて整理することは、ご自身のこの先の未来を思い描きながら、今を見つめ直すきっかけとなり、より充実した人生を送ることに役立つかもしれませんね。

エンディングノートや、遺言書を活用して、明確な思いを残しておきましょう。状況やお気持ちに変化があれば、きちんと内容を書き換えておきましょう。相続に関する心配事は、早め早めに専門家に相談されるとよいでしょう。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket

SNSで最新情報をチェック

相続税申告のご相談はこちら