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未成年者の特別代理人とは?選任方法と相続での大切な3つの役割

夫婦とお子さん二人の4人家族で円満に暮らしていたはずが、急に病気等で旦那さまが亡くなられてしまい、葬儀等が落ち着きこれからご自身とお子さんの相続の手続きをしなければ。と考えられていることかと思います。

お子さんが未成年の場合、相続について調べていると「特別代理人を選任する必要があります」との記載があり、「特別代理人って何?」と戸惑っていませんか?「親権者である私が判断してはだめなのかしら」と疑問に思ってしまいますよね。

判断能力がまだ不十分とみなされる未成年者は、未成年者一人の判断で遺産分割協議を進めてはならないというルールがあります。

親権者であるご自身は、本来であれば未成年者であるお子さんの法定代理人の立場ではありますが、相続においては「ともに相続人」として同じ権利を有していますので、利益を相反する関係となってしまいます。

このような場合は、利益に対して対立しない第三者の方に特別代理人となってもらい、遺産分割協議にお子さんと一緒に参加してもらう必要があります。

本記事では、未成年者の方の特別代理人について詳しくご説明いたします。

1.特別代理人とは

親権をお持ちのご両親は、本来、未成年者であるお子さんの法定代理人となります。しかし、相続においては旦那さまが亡くなられた場合、ご自身とお子さんは財産を相続する平等な権利があるため、未成年のお子さんにはご自身以外の代理人が必要となります。

このように、親と未成年者のお子さんが同時に相続人となる場合に必要となる代理人を「特別代理人」と言います。

仮に第一子の長男が成人しており、第二子の長女が未成年の場合には、長女にだけ特別代理人をつけます。

図1:特別代理人が必要となるケース
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1-1.候補者は祖父母・おじ・おばの選任が一般的

特別代理人の候補者は、一般的には、今回の相続に関係のない親族、例えば、祖父母やおじさん、おばさん等が特別代理人になることが多いです。

弁護士のような有資格者である必要はありません。今回の相続において、なんの利害関係もない方であれば問題ありません。ご友人や民生委員などの第三者を候補者にすることも可能です。

もし、ご親族に適任者がおらず、特に候補者を立てなかった場合は、家庭裁判所が専門家である候補者を選任することになります。

2.特別代理人の3つの役割

特別代理人は相続人内で勝手に決めるものではなく家庭裁判所によって選任してもらいますので、家庭裁判所への申し立ての手続きが必要です。

また、特別代理人は未成年のお子さんのあらゆる代理人としての権利を持つわけではなく、遺産分割協議や相続の諸手続きなど家庭裁判所の審判によって決められた手続きだけに代理権を持つことになります。

また、未成年のお子さんに代わりに手続きもおこないます。

また、未成年者のお子さんが複数いる場合にはそれぞれに特別代理人が必要となること、家庭裁判所が特別代理人を選任しますが、あらかじめ候補者を決めておくことができる点は押さえておきましょう。

図2:家庭裁判所に選任してもらうイメージ
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2-1.未成年者に代わり遺産分割協議に参加する

遺産分割協議は相続人全員の参加が必要であり、一人でも欠けてしまうと遺産分割協議の内容は無効と見なされます。

本来は、相続人である未成年者の方が参加するべきところですが、先に述べたように法的判断を単独でする行為は認められていませんので遺産分割協議には特別代理人の方が代わりに参加します。

すでにご説明したとおり親であるご自身であっても、同時に同じ相続人という立場でもありますので特別代理人になることはできません。

また、特別代理人の方はあくまでも協議に参加するだけで、実際に財産を受け取る方はお子さんとなります。

2-2.分割協議での財産の分割割合は法定相続分以上を確保する

遺産分割の内容は、未成年者の方にとって不利にならないよう配慮しなくてはなりません。未成年者の方にとって、法定相続分を下回らない、それ以上の相続財産が引き継げるよう、確保しなければならないということです。

例えば、ご自身とお子さん2人が相続人の場合、お子さんには法定相続分である1/4以上を相続してもらうということです。

図3:遺産分割は法定相続分以上を確保する
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※法定相続分について詳しくは、こちらを参考にしてください。(当サイト内)
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<未成年者のお子様がまだ幼い場合>

特別代理人は法定相続分以上を確保することが原則とされていますが、未成年者のお子さんがまだ幼い場合などで共同相続人であるご自身がこれから長きにわたってお子さんの生活の面倒をみなければならないという事情があれば、ご自身がすべてを相続する内容で分割することが認められるケースもあります。

こういった考え方は、家庭裁判所が個々の事案で判断することになっています。

2-3.相続全般の手続書類の記入、署名捺印をする

特別代理人は、遺産分割協議で決まった分割の内容を書面にまとめた「遺産分割協議書」に署名及び捺印をします。

さらに金融資産の相続に伴う解約や不動産の相続登記(名義変更)などのお手続きに必要となる書類の記入及び捺印を未成年者の特別代理人としてすべて代わりにおこないます。

3.特別代理人の選任手続き

家庭裁判所への選任の申し立ては、未成年者のお子さまではなく、主には親権を持つご自身が行ないます。「特別代理人選任申立書」という所定の書類に必要事項を記入し、次にご紹介する必要書類を準備して未成年者のお子さんがお住まいの住所地を管轄している家庭裁判所に提出します。

図4:「特別代理人選任申立書」の様式
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申立書には特別代理人として相応の方がいれば、その方のお名前を候補者として記載することができます。さらに、遺産の分け方を示した遺産分割協議の案を別途添付する必要もあります。分割の内容、候補者に問題がなければ、2週間から1ヶ月程度で承認され、結果が審判書として送られてきます。

3-1.申立人、申立先、かかる費用、必要書類を把握

特別代理人の選任手続きについて、ポイントを分かりやすく一覧表にまとめましたのでご確認ください。

1:申立人、申立先、かかる費用、必要書類について

申立人 親権者、利害関係人(今回の相続において利益相反する方)
申立先 未成年者のお住まいの住所地管轄の家庭裁判所
費用 収入印紙800円(申し立て1件につき)+切手代(返送用)
必要書類 ・特別代理人選任申立書 ※裁判所のホームページより入手
・未成年者および申立人の戸籍謄本(全部事項証明書という)
・特別代理人候補者の住民票または戸籍附票
・遺産分割協議書の案

申立書の「理由」については、特別代理人の選任が必要な事情(例えば、申立人の旦那さまが亡くなり、奥さまであるご自身と未成年者であるお子さまの遺産分割協議をするため など)を記載します。
遺産分割協議書の案の添付が必要なため、遺産分割協議の内容が具体的に決まってからお手続きをおこなってください。

3-2.特別代理人の役割は遺産分割が調った時点で終わる

特別代理人は遺産分割協議において「公平に相続する権利を守るため」に選任されます。代理の範囲は、遺産分割協議と協議書に基づいておこなわれる相続お手続きのみとなります。遺産分割協議が整い、相続のお手続きが滞りなく終了した時、特別代理人の任務は終了します。

4.さいごに

親の立場であれば、お子さんの権利を守ることは当然の思いではありますが、法律においては、公平性を図る必要が重視され、そのための煩雑なお手続きが必要になってきます。

裁判所に申し立てをする行為など、不慣れなお手続きが多く、不安を感じることもあるかと思いますが、相続に関することであれば、相続に強い税理士・司法書士に相談をしてみましょう。

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