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相続発生後の固定資産税は誰が払う?負担者がわかるたった1つの基準

お父さまが亡くなられた後、未払いの固定資産税の納税通知書が見つかったり、新たに固定資産税の納税通知書が届いたりすると「負担するのは誰?」などご不安のことと思います。

誰かが早く支払わなければと思って立て替えたら、相続人の間でトラブルになっても困りますよね。
 
遺産分割協議が調う前であれば、まだ亡くなられたお父さまのご自宅を誰が相続するのか決まっていないケースも珍しくありません。

固定資産税の滞納はよくありませんので、相続財産に不動産がある場合は、まずは納付書を探して納税状況を確認してしましょう。

本記事では、相続が発生した前後に納付期限を迎える固定資産税の支払いをどうすればよいかについて、考え方をまとめました。

1.相続発生後も固定資産税は1月1日時点の所有者に納税義務がある

固定資産税は、相続が発生したとしても1月1日時点の所有者に納税義務があります

仮にご自宅を所有されているお父さまが1月2日に亡くなられた場合、その年のご自宅の固定資産税を納税する義務はお父さまとなります。

固定資産税の納税開始はおおよそ4~6月ですが、納税義務者の判定は納税の開始時期ではなく1月1日の所有者となります。

また、秋から冬にかけて亡くなられた場合、翌年の1月1日時点で相続財産の分割について決まっていないことがほとんどです。この場合の翌年の固定資産税は、1月1日時点では相続人全員の共有財産となるため相続人全員が分割して支払う義務を負います。

1月1日時点の所有者は誰かがはっきりしていることがポイントになります。

2.相続発生後の固定資産税を納税する義務者の具体的な決定方法

1章でご説明したとおり、亡くなられた後も固定資産税の納税義務がお父さまに残る場合、相続人の皆さんがその権利を引き継いで遅延することなく税金を納める必要があります。

また、お父さまが亡くなられた翌年の1月1日からは名義変更の有無にかかわらず、所有者が変わりますので、相続が完了するまでどのようにして所有者と固定資産税の納税者が決まるのかご説明します。

【参考】
固定資産税の納税は一般的に年4回で第1期~4期に分けられます。
納税時期は市区町村で異なりますので、納税時期は市区町村へ確認が必要です。
例① 4月・7月・12月・2月の地域 : 多くの自治体
例② 6月・9月・12月・2月の地域 : 東京23区

2-1.新所有者が決まるまでは話し合いで納税者を決める

新所有者が決まるまでは大きく2つに分類されます。
(1)お父さまが納税者で未納付分
(2)新所有者が確定しないため共有持ち分として相続人全員が納税者

(1)については、お父さまが亡くなられたあと、お父さまが支払うはずの固定資産税は、相続人間で誰が負担するか話し合いで決めます。
実際には相続人代表の方が支払うケースが多いようです。

(2)については、相続財産の分割を決める遺産分割協議書に全員の署名と捺印がされるまで、新所有者が確定しないためそれまでは共有持ち分となり、相続人全員が納税者となります。

一般的には亡くなられた年の翌年の固定資産税が対象になることが多く、共有財産となった場合には法定相続分で分割して相続人全員で負担します。

すでに分割割合がおおよそ決まっていたり、同居の相続人がいる場合などは、話し合いがまとまれば割合を変えても問題ありません。

実際の納税時には、固定資産税の納付書は1枚しかないため相続人が複数名の場合はバラバラに納税手続きをおこなうことができませんので、代表者を決めます。

お母さまが代表者となった場合には、他の相続人からお金を集めてお母さまが代理で納税することになります。

図1:固定資産税を連帯納付で支払うイメージ
固定資産税を連帯納付で支払うイメージ

2-2.新所有者が決まった翌年から新所有者が納税者となる

固定資産税は1月1日の所有者が1年分(4期分)を支払うため、例えば8月に遺産分割協議書がととのってご自身が新しい所有者となった場合でも、その後に訪れる第3~4期分の支払い義務は発生しません。

翌年の1月1日の支払い分である翌年の第1期(4~6月頃)からの支払い義務となります。

3.亡くなられた時期によって相続人の負担額が変わる

お父さまが亡くなられた場合の固定資産税の負担者について時系列で確認していきます。

2章でご説明した通り、固定資産税の納付期限は第1期~4期に分けられます。相続人が負担する固定資産税は、お父さまが亡くなられた時期や遺産分割協議が調った時期により変わってきます。

相続人がどのように固定資産税を支払うかについて、具体的にご説明します。
納付期限は市区町村により異なりますので、ご自身のケースに当てはめてお考えください。

3-1.6月に亡くなられたケース

6月に亡くなられた場合は、お父さまが納税者となる第2期~第4期分が未納付と考えられます。

もし、年内に遺産分割協議がととのわず、翌年の1月1日時点で新しい所有者が決まっていなければ、翌年の第1~4期分は共有財産として法定相続分か話し合いで決めることになります。

年内に新しい所有者が決まったとしても、お父さまの未納付についての支払いは法定相続分か話し合いで決め、新しい所有者は、翌年の第1期分から納税義務が発生します。

図2:6月に亡くなられて年内に新所有者が決まらなかった場合の固定資産税の負担の考え方
6月に亡くなられて年内に新所有者が決まらなかった場合の固定資産税の負担の考え方

3-2.1月に亡くなられたケース

1月に亡くなられた場合は、お父さまが納税者となる前年の第4期分と、その年の第1~4期分が未納付と考えられます。負担の仕方は3-1と同様で、法定相続分か話し合いで決めます。

新しい所有者は、翌年の第1期分から納税義務が発生します。

図3:1月に亡くなられた場合の固定資産税の負担の考え方
1月に亡くなられた場合の固定資産税の負担の考え方

※固定資産税の支払い方について詳しくは、こちらを参考にしてください。(当サイト内)
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4.固定資産税の納付書は1月1日時点の所有者に送付されている

固定資産税の納付書は、亡くなられた方であっても1月1日時点の所有者の方へ送付されます。実際には4~6月に送られてきますが、これは相続に限った話ではなく、普段の不動産の売買等でも同様になります。ただし、届け出をおこなうことで変更をすることも可能です。

図4:固定資産税の納付書のイメージ
固定資産税の納付書のイメージ

4-1.相続登記(名義変更)の有無に関係なく納付書は送られてくる

自宅の所有者が亡くなられた祖父のままなど、不動産登記の情報が何世代にも渡って変更されていないケースも多くあります。

不動産の所有者が変わったら登記情報を変更するルールではありますが、手数料等がかかることと現状は罰則が無いことから不動産の名義変更をしないケースが増えています。

ただし、不動産の名義変更をしないことは大きなリスクを抱えるためおススメはできません。

4-2.「相続人代表者指定届」を提出すると代表者に送付される

相続した翌年の1月1日までに、相続登記が完了していない場合、翌年分も亡くなられた方のご住所に亡くなられた方宛の納付書が送られてしまいます。

固定資産税の管轄は市区町村役場となりますので、所有者がすでに亡くなられていることは死亡届を通して把握されていますので、宛名は「故 〇〇様のご相続人様」という記載になります。

相続人のいずれかがご自宅に住んでいたり、お近くに住んでいて郵便物等を確認したりしていない場合には、納付書が届いたことを把握せず納付期限が過ぎてしまったという事態にもなりかねません。

遺産分割協議が調ったとしても1月1日まで相続登記が間に合わない場合には、管轄の役所宛に「相続人代表者指定届」を提出することで、指定した相続人の方のご自宅に納付者が送られてくるようになります。

図5:相続人代表者指定届のイメージ
相続人代表者指定届のイメージ

5.亡くなられた方の未払いの固定資産税は相続財産の一部をあてる

固定資産税は、支払い時期によって誰が負担するかの考え方がお分かりいただけたと思います。

亡くなられた方の未払い金に関しては、相続する方が決まったとしても、亡くなられた方の債務と考えることができます。つまりお父さまが亡くなられた場合、未納付の固定資産税はすべてお父さまの債務として考えることができます。

1月1日時点の所有者を基点として「亡くなられた方が支払うべきもの」「相続人が支払うべきもの」という考え方の整理をしましょう。

また、亡くなられたお父さまが支払う固定資産税においても、ご自宅であれば相続税の控除が受けられ、アパートなど所得税の対象となる財産の場合には準確定申告で経費として控除をすることができます。

なお、遺産分割協議がととのうまで亡くなられた方の口座は凍結していてお金をおろせないため、通常は相続人が自分の財産で立替えて支払い、遺産分割協議がととのった後に精算することになります。

5-1.相続税の申告が必要であれば債務控除ができる

相続発生前の固定資産税の未払い金については、相続発生後に相続人が支払ったとしても相続税の債務控除の対象となります。固定資産税を代わりに支払った分、相続税が減額されるということになります。

納付した日付が、相続発生日以後のものであれば、たとえ期日が過ぎた納付分であったとしても債務控除の対象となります。

例)6月に相続が発生し第1期分が未納の場合、残りの第2~4期分と合わせて亡くなられた方が支払うべき
税金であるため、第1期~4期分が債務控除の対象となります。

図6:固定資産税は相続税の債務控除の対象
固定資産税 相続税の債務控除の対象となるイメージ

※債務控除について詳しくは、こちらを参考にしてください。(当サイト内)
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5-2.準確定申告が必要であれば経費にできる

亡くなられたお父さまがアパート経営などをされていて、例年確定申告をしていた場合にはアパートの固定資産税は経費として控除を受けています。

亡くなられた年については、相続発生前に納税通知書が届いた場合の固定資産税は亡くなられた方の準確定申告の経費として、相続発生後に届いた場合は新所有者の確定申告の経費として考えます。

亡くなられたお父さまの経費として準確定申告の経費に算入するか、相続人が確定申告で経費に入れるかは次の3つから選択できます。
・納税通知書の交付日
・納期の開始日
・実際の納付日

図7:相続発生後に支払った分は相続人の経費とするイメージ
相続発生後に支払った固定資産税 相続人の確定申告の経費

※準確定申告について詳しくは、こちらを参考にしてください。(当サイト内)
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6.相続放棄をした場合は未納の固定資産税を支払わなくてよい

亡くなられた方が生前に未納であった固定資産税については、相続放棄をおこなった場合に限り支払う義務が無くなります。

未納の固定資産税は借金等と同様に扱われますので、相続放棄をすることで「もともと相続人では無かった」となれば支払い義務もありません。

ただし、「未納の固定資産税を免除してもらい、今後の固定資産税は納税するので自宅を相続したい」といった考え方に該当する考え方はありませんので、相続放棄をした場合にはご自宅も預金もすべて放棄することになります。

※相続放棄について詳しくは、こちらを参考にしてください。(当サイト内)
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7.相続した自宅の固定資産税が支払えない場合は役所に相談する

自宅は相続したいが毎年の固定資産税が支払えない場合や、亡くなられたお父さまが固定資産税を滞納していてその分を負担できない場合には、まずは役所に相談しましょう。

滞納が続いてしまうと、差し押さえされ売却されてしまいます。分納ができないかなど、役所の方に相談して納税する意思を示し、確実に納税をおこないましょう。

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