【相続税の基礎知識】いくらかかるか早見表で確認!申告期限内にやるべき6つの事

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「実家の父が亡くなったら、相続手続きが必要になる。相続税もかかるのだろうか・・。相続税の事は何となく知っているが、期限や必要な手続き、控除など細かいことはわからない。誰か、分かりやすく教えてほしい。」

相続の機会をほとんどの方が経験されますが、何度も経験するものではありません。ましてや相続ごとに財産の内容や相続人としての立場も異なります。そのため、ご自身のケースにおいて何を検討すればよいのか分からない事も多いかと思います。

 今回は相続税とは何か、自分にはどのくらいの相続税がかかるのか、申告手続きの方法、相続税を減額できる特例や控除について、申告期限が過ぎてしまった場合にかかるペナルティ税など、まずは相続税について知っておくべきことをまとめました。
相続税において、何が必要になるかを確認するためにもぜひ参考になさってください。

1.相続税とは基礎控除を超えた金額にかかる税金の事

相続税とは、引き継いだ相続財産に課税される税金ですが、財産を相続した場合に必ず課税されるわけではありません。
亡くなられた方の財産の総額(債務などマイナスの財産を除く)が、基礎控除という一定の額を超えた場合に、超えた分に対して課税される税金です。
相続税は、財産を受け継いだ「配偶者の相続人」や「お子さんなどの亡くなられた方と血縁関係にあった相続人」にそれぞれ課税されます。
例外としては、遺言書で財産を受け継いだ「相続人ではない第三者の方」に課税される場合もあります。
相続税の基礎控除については、次の章でご説明します。

図1:相続税は基礎控除を超えた金額にかかる税金
相続税とは

※相続税とは何か、について詳しくはこちらをご覧ください。

※相続税は誰が払うのか、について詳しくは知らをご覧ください。

2.相続税の基礎控除と早見表

相続税の基礎控除とは、相続税が課税されるかどうかのボーダーラインです。
相続財産の総額(債務などのマイナスの財産を引く)が基礎控除額を下回っていれば相続税はかからないとなり、申告納税は不要となります。
基礎控除額は法定相続人の数で決まります。法定相続人の数が分かれば、相続税の基礎控除額を計算することができます

図2:法定相続人
法定相続人

※法定相続人について詳しくはこちらをご覧ください。

図3:相続税の基礎控除の計算式
基礎控除計算式

※相続税の基礎控除について詳しくはこちらをご覧ください。

2-1.相続税の早見表

相続税はどのくらいかかるのか、相続財産と法定相続人の人数から早見表でおおよその金額を知ることができます。
相続税の早見表を活用する際には以下のポイントをご確認ください。
➂と④につきましては、第4章をご参照ください。

【相続税の早見表を活用する5つのポイント】
①まずは遺産総額(債務などのマイナスの財産を引く)をおおよその概算で計算する
②相続人の数と財産の取得は「法定相続人及び法定相続分」を活用
③配偶者には「配偶者の税額軽減」を適用しておく
④相続税が高いと思ったら適用できる「特例・控除」を調べる
⑤そもそも「基礎控除額以下」であれば相続税はかからない

表1:相続税の早見表
相続税の早見表

※1 法定相続人は「配偶者と子2人の場合」で算出した結果とする
※2 税額(総額)は「千円未満切り捨て」とする
※3 対象財産とは「基礎控除額を差し引く前」の額とする
※4 配偶者は「配偶者の税額軽減」を法定相続分まで適用する

※相続税の早見表について詳しくはこちらをご覧ください。

2-2.相続税の計算7ステップ

相続税の早見表から、大まかな相続税額を確認することができますが、更に具体的な金額を相続税額を計算により求めることができます。
相続税の計算には亡くなられた方の財産の預貯金などのプラスの確認だけではなく、借金などのマイナスの財産、その他に相続人の確定も必要です。
誰にどのくらいの相続税がかかるのかを知りたい場合には、法定相続分で分割すると仮定して計算をします。
相続税の計算は次の7つのステップで行います。

<相続税の計算をするための7つのステップ>
ステップ①相続財産を確定させる
ステップ②相続財産から基礎控除を引く
ステップ➂相続税の総額の計算するため、法定相続分で取得したものと仮定する
ステップ④税率表を用いて相続税の総額を求める
ステップ⑤実際の相続割合に応じて相続税を分割する
ステップ⑥相続税の控除税額控除等を適用する
ステップ⑦相続税の納付額を確定する

図4:相続税の計算7ステップ
相続税計算7ステップ

※相続是の計算について詳しくはこちらをご覧ください。

※課税対象になる相続財産について詳しくはこちらをご覧ください。

3.申告期限の10ヶ月以内にやるべき6つのこと

相続開始とは、亡くなられたことを知った日です。相続税の申告期限は相続開始があったことを知った日の翌日から10ヶ月です。
相続税の申告が必要な方は、亡くなられた方の住所地を管轄する税務署へ相続税申告書を提出します。期限内に手続きを済ませるためにはどのような手続きが必要なのか、また期限を過ぎてしまった場合のペナルティについてご説明します。

<相続税の期限厳守のためにやるべき6つのこと>
①相続人の確定
②財産・債務の把握
➂遺言書の有無を確認
④遺言書が無ければ遺産分割協議を行う
⑤相続税の計算
⑥相続税申告の必要書類を揃える

図5:相続税の申告期限は10ヶ月
申告期限は10ヶ月

3-1.相続税の申告必要書類

相続税の申告書類に必要な添付書類は、5つに分類することができます。
相続税の申告内容によって添付する書類が異なりますので、必要な書類を確認して忘れずに添付します。

<相続税申告書類必要書類5分類>
①「相続人のマイナンバー」に関する添付書類
②「相続人の関係性」を明らかにする添付書類
③ 財産の「分け方」に関する添付書類
④「財産の内容に応じた残高・評価」に関する添付書類
⑤「相続税の特例の適用」に関する添付書類

※相続税の申告に必要な書類について、詳しくはこちらをご覧ください。

3-2.相続税申告期限までに遺産分割が決まらなかった場合の手続き

相続税の申告期限までに遺産分割が決まらなかった場合に、分割されていない財産を申告期限から3年以内に分割して配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例の適用を受けるため「申告期限後3年以内分割見込書」を申請し、手続きを行います。
「法定相続分で分割した」と仮定して、必ず申告期限の10ヶ月以内に申告手続きをするとともに「申告期限後3年以内分割見込書」を提出します。

※「申告期限後3年以内分割見込書」について詳しくはこちらをご覧ください。

3-3.相続税の申告漏れに課されるペナルティ

相続税の申告期限内に申告納税をしないと、無申告となりぺナルティ税が科されます。相続人が財産を把握していなかったために、無申告であった場合など、故意でなくとも相続税の無申告は、税務調査がおこなわれると必ず発覚します。

<申告漏れを注意するケース>
・把握していない財産があった
・名義預金があった
・遺産分割協議が整わず申告していない
・亡くなる前3年内にした贈与により取得した財産を、相続財産に加算していない
・意図的に隠している財産がある

<申告漏れで課される3つのペナルティ税>
・延滞税
・無申告加算税
・重加算税

※相続税の申告漏れについて詳しくはこちらをご覧ください。

4.相続税を減額できる控除と特例

相続税には、基礎控除以外にも減額できる控除や特例があります。これらを正しく適用することで、相続財産の総額が、たとえ基礎控除額を上回っていても、納税の負担を最小限におさえる事や、納税額をゼロにできる可能性があります。

4-1.配偶者の税額軽減で1.6億円以下、または法定相続分までが無税

亡くなられた方の配偶者の方は、配偶者の税額軽減(配偶者控除)という制度により、一定の条件を満たすことで配偶者の方が受け取る相続財産の金額が1億6,000万円、または配偶者の方の法定相続分のいずれかの多い方の金額まで、相続税が無税となります。

図6:配偶者の税額軽減
配偶者の税額軽減

※配偶者の税額軽減について詳しくはこちらをご覧ください。

4-2.小規模宅地等の特例で土地の評価額が8割減できる

小規模宅地等の特例とは、実際に住んでいた土地(特定居住用宅地)、事業を行っていた土地(特定事業用宅地等)、賃借していた土地(貸付事業用宅地)を、亡くなられた方の親族が相続する際に、土地の評価額を最大80%減額することができる制度です。
土地の価値そのものを変えることなく、相続税額を減額することができます。小規模宅地等の特例の適用には、要件を満たす必要があります。

図7:小規模宅地の特例(例:特定住宅用宅地の場合)

※小規模宅地の特例について、詳しくはこちらをご覧ください。



4-3.その他の相続税の控除一覧

配偶者の税額軽減、小規模宅地の特例以外に、相続税額を減額することができる主な控除を5つご紹介します。

<相続税の控除>

控除 概要
未成年者控除 未成年者が財産を受け継ぐ場合に、相続税額から一定の額を差し引く
障がい者控除 満85歳未満の障がい者が相続人となる場合に、相続税額から一定の金額を差し引くことができる
贈与税額控除 贈与税と相続税の二重課税を防ぐため、
「相続や遺贈により財産を受け取ること」
「亡くなられた方から3年以内に贈与を受けたこと」
「贈与税をすでに納めていること」
という3つの条件をすべて満たした場合にすでに納めた贈与税を差し引く
相次相続控除 相続の開始前10年以内に亡くなられた方が相続税を納めていた場合に、
今回財産を取得する相続人の相続税のうち一定の金額が控除される
外国税額控除

日本の相続税と外国の税(相続税に相当する)が二重にかかる場合、
外国でかかった税金を日本の相続税から控除(日本国外にある財産が対象)

※その他の相続税の控除について詳しくはこちらをご覧ください。

4-4.特例の適用には相続税申告が必要

相続財産が基礎控除額を下回っていれば、相続税の申告も納税も不要です。
しかし、配偶者の税額軽減や、小規模宅地の特例などの適用により相続税がゼロ円になる場合には、必ず税務署へ申告が必要です。相続税の申告期限までに、相続税の申告と特例や控除の適用を申請します。

図8:相続税がゼロ円でも申告が必要なケース
ゼロ円申告

※相続税のゼロ円申告について詳しくはこちらをご覧ください。

5.相続税において知っておくべき3つのこと

相続税の基礎控除や申告手続き、相続税を減額できる控除や特例などをご紹介してまいりましたが、その他にも相続税において知っておくべきことが3つありますので、ご紹介します。

5-1.①生命保険には相続税の非課税枠がある

生命保険金や損害保険金は亡くなられた方が保険金の全部または一部を負担していた場合、相続財産とみなされるため、相続税の課税対象となります。みなし相続財産である生命保険金には非課税枠があり、「500万円×法定相続人の人数」で求めることができます。

図9:生命保険金、損害保険金の非課税枠の計算式
非課税枠計算式

※生命保険における相続税の非課税枠について詳しくはこちらをご覧ください。

5-2.②相続財産から差し引ける債務控除がある

相続財産に借金や負債などのマイナスの財産が含まれる場合、相続税の計算をする際に預金や不動産などのプラスの財産からマイナスの財産を差し引くことができます
この相続税の計算の過程で、相続財産から負債などのマイナスの財産を差し引くことを「債務控除」といいます。債務控除の対象となるマイナスの財産は、亡くなられた時に既にあった債務で、確実と認められるものです。

<相続税の債務控除の対象となる債務>
・亡くなられた方の生活費や医療費などの未払い金
・亡くなられた方の借金やローンの借入金
・葬儀代

※相続税の債務控除について、詳しくはこちらをご覧ください。

※相続税の控除対象である葬儀代について、詳しくはこちらをご覧ください。

5-3.③相続税の修正申告・更正の請求方法

相続税の申告書を提出し納税も済ませた後になって新たな財産が見つかった場合や、相続税の計算が間違っていた場合などは、相続税の修正申告が必要となります。
税額を少なく申告していたときは「修正申告」をする必要があり、税額を多く申告していたときは「更正の請求」を行うことができます。相続税の修正申告が必要となる4つのケースは以下の通りです。該当する場合にはすみやかに相続税の修正申告をしましょう。

<相続税の修正申告が必要となる4つのケース>
①相続税の申告後に新たな財産が見つかった
②財産評価の誤り
➂相続税の特例の適用の誤り
④未分割の財産を法定相続分で分割したものとして申告し、その後の確定した分割内容で相続分に変更が生じた

※相続税の修正申告について、詳しくはこちらをご覧ください。

6.まとめ

相続税は財産を受け継いだ方全員にかかるものではありません。相続税には基礎控除があり、それを超えた金額にかかるのが相続税です。相続税がどのくらいかかるのかは、早見表や計算で確認することができます。

相続税の申告納税期限は10ヶ月と短いです。相続税がかかることが分かったら、相続税額を減額することのできる特例や控除が適用できるのか、申告必要書類は何かを確認して速やかに手続きを行いましょう。

期限を過ぎてしまったり、うっかり申告を忘れて無申告と判断されると、相続税に加え延滞税などのペナルティ税が加算されます。

ご自身の相続税はいくらかかるのか、速やかに正確に確認し手続きを完了することが大切です。しかし、財産の確認や書類の用意、控除や特例の適用判断などやるべきことが多くあります。ご不明な点、不安な点等がございましたら、お近くの税理士にご相談されることをお勧めします。

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