相続税の納税地はどこ?多くの人が迷う納税地の判断基準【完全版】

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「相続税は自分の家の近くの税務署へ納税すればいいのよね。」
「父は余生を海外で過ごしていたけれど、納税地はどこになるのかしら。」

相続税の納税が必要だけれど、どこが納税地になるのかお悩みではないでしょうか。

日ごろ住民税や固定資産税などを納税するように、相続税もご自身がお住まいの地域の税務署へ納税するものだと思われる方は多くいらっしゃいます。

相続税は、亡くなられた方が住んでいた住所地を管轄する税務署」が納税地となります。

ただし、注意点があり「亡くなられた方が住んでいた住所地」は老人ホーム、別荘、単身赴任中など様々な理由で住民票のある家ではないことがあります。

さまざまなケースの「相続税の納税地はどこになるだろう?」という疑問を解決するために、本記事を参考にしていただければと思います。

1.相続税の納税地は「亡くなられた方の住所地」

相続税の納税地は、相続人のご自宅最寄りの税務署ではなく、「亡くなられた方が最後に住んでいた住所地」です。

例えば、ご自身が相続人となった際に東京に住んでいたとしても、亡くなられたお父さまが大阪に住んでいたのであれば、相続税の申告と納税は大阪の税務署になります。

「亡くなられた方が最後に住んでいた住所地」については、住民票のある場所と同じでない場合もあります。老人ホーム、別荘、単身赴任中に亡くなられたケースは2章を確認しましょう。

図1:相続税の納税地は亡くなられた方の住所地を管轄する税務署

2.相続税の納税地を決める「亡くなられた方の生活の本拠地」とは

生活スタイルの変化や介護施設に入居が必要等の理由で、住民票のある場所(自宅)ではない場所に住んでいることはよくあることです。「住民票がある、すなわちそこを住所地とする」という考え方ではなく、亡くなられた方が生活の主体をどこにおいていたかという現況を把握し、本拠地だった場所を納税地と判断します。

亡くなられた方が住民票のある場所に住んでいた場合、住民票のない場所(老人ホームなど)に住んでいた場合、さらには海外に住んでいた場合の3つのパターンについて、相続税の納税地を確定させるための考え方をご説明いたします。

図2:相続税の納税地の判断のポイントは「生活の本拠地はどこか」

2-1.住民票のあるご自宅に住んでいる場合

ご自身のご自宅に住民票を登録しており、ご自宅に住んでいる場合には、亡くなられた方の住民票のある住所地を管轄する税務署が納税地となります。

病院に入院していた場合も、住民票のあるご自宅の住所地を管轄する税務署が納税地となります。

2-2.住民票のない老人ホーム・別荘・単身赴任先に住んでいる場合

老人ホームに入居したり、国内の別荘へ生活の拠点を移したり、単身赴任中の場合にはどうなるのでしょうか。住民票のない場所であっても生活の主体をおいている場合には、亡くなられた際に住んでいた場所を管轄する税務署が納税地となります。

①老人ホームに入居していた場合
亡くなられた方が介護を受けながら老人ホームに住んでいた場合は、生活の主体が老人ホームとなります。老人ホームのある住所地を管轄する税務署が納税地となります。

②別荘に住んでいた場合
亡くなられた方が余生を国内の避暑地など別荘で過ごされていた場合、生活の主体が別荘となります。別荘のある住所地を管轄する税務署が納税地となります。

③単身赴任中に亡くなられた場合
家族と離れて単身赴任をされている方が亡くなられた場合は、判断が分かれます。
亡くなられた方の扶養するご家族が住民票のあるご自宅に住んでいて、亡くなられた方も赴任先からご自宅に戻ることが前提であった場合、赴任先はあくまで一時的な住居地と考え、生活の本拠地はご家族が住んでいる住所地であったと判断することができます。この場合には、ご自宅の管轄の税務署が納税地となります。

一方で、単身赴任の期間が長期間の場合や、住民票を移動していた場合には、単身赴任先の住所地が本拠地となる場合がありますので、税務署に相談しましょう。

2-3.海外に住んでいる場合

長年海外に住んでいた方あるいは余生を海外で過ごされていた方が亡くなられた場合は、生活の主体は海外となりますが、海外には日本の税務署がありません。便宜上、各相続人の方の住所地を管轄する税務署が納税地なります。ただし、海外に住んでいた期間が1年未満と短期間の場合には、亡くなられた方のかつての日本の住所地を最後の住所地と見なしますので、滞在期間を確認することにご注意ください。

図3:海外に住んでいた場合は相続人の住所地が納税地となる

3.相続税の納税地を管轄する税務署の探し方

「亡くなられた方の住所地を管轄する税務署」という言葉が多く出てきましたが、亡くなられた方の住所地を管轄する税務署はどこになるのでしょうか。税務署の所在地は簡単に調べることができます。

(1)国税庁ホームページ「税務署の所在地などを知りたい方」にアクセスします。https://www.nta.go.jp/about/organization/access/map.htm

(2)「郵便番号・住所から税務署を調べる」では必要事項を入力して検索をします。もしくは「地図から税務署を調べる」、「一覧から国税局・税務署を調べる」において該当箇所をクリックして検索します。

図4:国税庁ホームページトップページ「税務署の所在地などを知りたい方」

4.相続税申告・納税に関する3つのポイント

相続税の申告・納税期限は「亡くなられたことを知った日の翌日から10ヶ月以内」という原則があり、期限内に申告書を作成して管轄税務署へ提出、納税金額がある場合には同時に納付も済ませてすべて完了させる必要があります。

※相続税の期限について詳しくは、こちらを参考にしてください。

相続税の申告と納税を直接税務署の窓口へ持参することのメリットは、税務署の開庁時間内に申告書を提出するとその場で「収受印」といって「税務署が確かに受領しました」という証明印をもらうことができます。納税も済ませれば、収受印により期限内に申告と納税ができたことを証明でき、ペナルティを回避できます。

4-1.相続税の申告は郵送でも可能!

相続税の申告書は郵送で提出することも認められています。配達された記録が必ず残るよう、簡易書留や特定記録郵便を利用すること、または、宅配便で送ることとされています。相続税の申告書の控えを送り返してもらう必要がありますので、忘れずに必ず返信用封筒を同封して送りましょう。

期限ギリギリの場合には、郵送は「消印の日が提出日」となりますが、宅配便の場合は「税務署に申告書が到着した日が提出日」となります。宅配便の場合、申告期限には少し余裕をもって手配しましょう。また、申告書の作成を税理士に依頼する場合は、申告書提出までを請け負うことが多いため手間も納期管理も無く安心です。

図5:申告書を郵送する場合と宅配する場合の「受領日」の違い

4-2.管轄税務署が分かったら相続税の納付書を入手する

相続税の申告書の提出と同時に絶対に忘れてはならないことは相続税の納税です。相続税の納税は、申告期限内に現金で一括納付することが原則です。納税は相続人がそれぞれ行います。

納税の手続きには「納付書」が必要になります。納付書は、一部の金融機関では準備がありますが、税務署で入手しておくと確実です。納付書は全国共通ですので、相続人のご自宅最寄りの税務署で「税金の種別(今回は相続税)、管轄税務署、必要枚数」を伝えて入手しましょう。

納付書には、亡くなられた方のお名前、相続人のお名前を両方記載します。

4-3.相続税の4つの納税方法

相続税を納税する方法は、管轄税務署へ納付書を添えて現金で納付する、金融機関の窓口、クレジットカード、コンビニエンスストアの4つです。金融機関での納税を選択される方が多いです。クレジットカードで決済する場合は手数料がかかるということに注意が必要です。

【相続税の納税方法】
①税務署の窓口
②金融機関の窓口
③クレジットカード
④コンビニエンスストア

※相続税の納税方法について詳しくは、こちらを参考にしてください。

5.さいごに

相続税の納税地は、住民票がある場所ではなく亡くなられた方が生活の本拠地とされていた住所地となります。

相続税の対象となると、相続税の申告と納税を亡くなられてから10ヶ月以内に行わなくてはなりません。亡くなられた方が別荘に住んでいた場合や海外に移住されていた場合は、納税地の判断に迷われることもあるでしょう。

納税地がどこか分からない場合や、相続税の計算・申告書の作成についてご心配な方は、相続に強い税理士にご相談されることをおススメ致します。

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