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相続登記の委任状はどんな時に必要?判断基準と委任状の作成ポイント

お父さまが亡くなられた際に自宅を相続したお母さまも最近亡くなられた。
こんな時にご自身やご兄弟が実家から遠方に住んでいると、相続時には実家を売却して、売却代金をご兄弟で分割するという方法をとることも多くあります。

今、まさにご両親の自宅の売却のために相続登記をお願いしたいという状況ではないでしょうか。
または、遠方で相続登記に全員が行くのは難しいため、誰かに任せたいという状況ではないでしょうか。

お母さまが所有されていた自宅の名義変更をする相続登記は、司法書士など専門家に依頼することもできますが、ご自身でやりきることも十分できます。

売却する場合の相続登記では共有名義として複数名で登記しますが、この場合は代表者だけが法務局に行けば相続登記の手続きを完了させることができます。ただし、このように代表者だけが法務局に行く場合には、相続登記の委任状が必要となります。

本記事では、この相続登記の委任状をご自身で作成して、無事に相続登記を終えるための委任状の作成方法をご説明します。

1.相続登記の代行を家族・専門家に依頼すると委任状が必要

相続登記の委任状とは、不動産の名義を引き継ぐ場合の手続きをご家族の誰か、または司法書士などの専門家に依頼する場合に「この手続きをお願いしました」という証明として提出します。つまり、ご本人以外の方が相続登記を行う際に、権限を委任したことを記すものです。

よって、ご本人以外の方が相続登記を行う場合には、たとえ専門家であっても、ご家族であっても、法務局に必要書類と共に委任状を提出しなくてはなりません。
ただし、ケースによっては委任状が不要な場合もありますので、詳しくは2章でご説明します。

【参考】
司法書士等の専門家に相続登記を依頼する場合には、相続登記に関するすべての権限を委任することができ、すべて手続きを代行してもらうことができます。さらに、この場合には正しい相続登記の委任状を作成もしてもらえるので、依頼人は指定されたところに署名・捺印をするだけで済みます。

2.相続人の代表者が相続登記をする場合、分割割合で委任状の要否が変わる

相続人の代表者が相続登記の手続きに行く場合には、今回の相続登記をする不動産をどのような割合で相続することになっているのか、この分割割合によって、委任状の有無が変わってきます。このときのポイントは法定相続分です。他にも相続人が未成年の場合には委任状が不要などのルールがありますが、不明な時は作成しても損はないため作成しておくことをお勧めします。

※法定相続分について詳しくは、こちらを参考にしてください。(当サイト内)

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2-1.法定相続分で分割する場合は委任状が必須ではない

相続人の代表者が相続登記の手続きをする際に、相続登記する不動産の割合が法律で定められた相続の分割割合である「法定相続分」通りの場合は、委任状がなくても登記ができます。ただし、委任状を提出しておくと、登記完了時に発行される「登記識別情報通知書」が代表以外の相続人の手元にも届くようになりますので便利です。

「登記識別情報通知書」とは、売却や抵当権の設定など行う際に必要となる大切な書類となるため、不動産を引き継ぐ方全員の手元に届くことが望ましいですから、法定相続分通りに分割する際にも委任状を作成することをお勧めしています。

2-2.法定相続分以外で分割する場合は委任状が必須

法定相続分以外の割合で不動産を相続する場合は、委任状の提出が必須となります。本当に相続する割合に合意しているのか判断できないため、委任状がなければ相続登記の申請を行うことができません。
このとき、相続人のうち、不動産を相続しない方の委任状は不要となります。

図1:委任状が必要になるケースのイメージ
SO0069-01

3.相続登記の委任状は委任者の署名捺印があれば誰でも作成可

相続登記の委任状には決まった書式がありませんので、要点を押さえていればご自身で作成しても、委任者や司法書士が代理で作成してもよいものとなります。ただし、誰が作成したとしても、委任する内容を相続人全員がしっかりとわかるようにしておくこと、加えて、委任状に委任者の直筆の署名と捺印があり委任したことが明確である必要があります。

4.【簡単作成】相続登記の委任状の記載例とご自身で作成できる7つのポイント

相続登記の委任状は特に決まった書式があるわけではありません。ご自身で作成される場合には、次の7つのポイントを押さえれば、初めての方でもご自身で作成し手続きを終えることができます。
 
図2の①~⑦のポイントを押さえておきます。次の説明を確認しましょう。

①代表として登記申請を行う方の住所・氏名を書く
②委任する内容を書く
 ※委任内容を細かく限定すると手続きが完了しない
 ※図2の②5項のように付随する内容を委任していることも記す
③委任した日付を書く
④自分の署名は直筆で、住所は住民票に記載されている通りに書く
 ※印鑑は実印ではなく認印でもよい
 ※同じ不動産に対して委任する人が複数いる場合は連名で書いてもよい(各自直筆で)
⑤不動産の情報は不動産謄本(登記事項証明証)の記載内容とする
 ※登記事項証明書の「表題部」から転記
⑥最後は「以下余白」と書く
⑦委任状が複数枚になる場合は割り印が必要で、捨印は不要

図2:相続登記申請の委任状の例
SO0069-02

5.相続登記の委任状に関する注意事項

「委任状を偽装して相続登記を勝手に進めることは犯罪行為」

相続登記の委任状は実印でなくとも認印でも手続きが進められるため、登記申請に関する書類が揃っている場合、委任状さえあれば誰でも相続登記ができてしまいます。よって、たとえ親族であっても、委任を受けていないのにも関わらず勝手に委任状を作って相続登記の手続きをしてしまうことは犯罪です。ご自身が署名・捺印していないにも関わらず勝手に相続登記がされていた場合には、まずは相続登記の無効を伝え、状況によって弁護士に相談しましょう。

「相続登記の代行を理由とした手数料の支払いは家族間でも禁止」

司法書士や弁護士以外の方が手数料をとって代理人として相続登記の申請をすることも犯罪になります。他の相続人の代表として法務局に行ったとしても手間賃を徴収するようなことはしてはいけません。よって、相続登記の代理人を委任した場合に、手間賃を求められた場合にはこのルールを伝えましょう。ただし、遠隔地に登記の手続きに行く場合など、旅費がかさむ場合には手間賃ではなく旅費を相続人で負担することは問題ありません。

6.まとめ

以上で登記申請の委任状についてお分かりいただけたでしょうか。

委委任状が必要な場合は改ざんされる恐れがないよう注意を払って作成しましょう。また、相続登記には期限がありませんが、放置してしまうといざという時に売却ができなかったり、後々とても面倒なことになります。

相続人全員で登記申請に出向くことが難しい場合は、委任状を活用するとスムーズに相続登記を終えることができますので、本記事を参考にして進めてください。

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