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非嫡出子の相続には認知が必要!トラブルを防ぐ認知と遺言書の必要性

「非嫡出子である我が子のことが心配・・・将来、ちゃんと相続することはできるのかしら?子であることに変わりはないのに、相続させたくないなんて言われて、嫌な思いをするのではないだろうか・・・」

ご自身のお子さんが非嫡出子だった場合、親としてはお子さんが相続のときに、非嫡出子というだけで不利になるのではないかと不安を感じていると思います。お子さんが相続トラブルに巻き込まれたり、理不尽な扱いを受けることだけは避けておきたいですよね。

非嫡出子の相続には、不平等な考え方が以前は確かにありましたが、法律は改正され、現在は平等な権利が認められています。

本記事では非嫡出子の権利を正しく理解し、相続で損をしないためにやるべきことをご説明いたします。お子さんの将来を守るためにも、この記事を参考にできることをしておいていただければと思います。

1.非嫡出子の相続には父親の認知が必要

非嫡出子は、法律上の婚姻関係がない男女間に生まれたお子さんのことで、婚外子といわれることもあります。正しくは、認知などをして、戸籍上で親子関係が証明されているお子さんが「非嫡出子」となります。

  【非嫡出子の親子関係を証明する方法】
    父親の場合:認知届を提出する
    母親の場合:出生届を提出する

相続では、お子さんは法定相続人として、両親の財産を引き継ぐことができます。たとえ、法律上は婚姻関係のない男女間に生まれたお子さんであっても、親子関係が証明されていれば、相続は可能です。
母親であれば、出産の事実で親子関係は明らかとなりますが、父親の場合は、認知して戸籍上で証明するしか方法はありません。

図1:非嫡出子とは

図2:非嫡出子の相続には父親の認知が必要

図3:認知後の法定相続人

2.非嫡出子の相続する権利は認められている

非嫡出子には相続する権利が認められており、非嫡出子でも嫡出子であっても、相続における権利は平等です。親子関係が証明されている非嫡出子の方に不利益が生じることは、法律上ありません。

2-1.非嫡出子と嫡出子の相続割合は平等

2013年に民法の一部改正が決定されるまでは、非嫡出子の方の相続分は、嫡出子の方の半分とされ、不平等な割合となっていました。
認知されていても非嫡出子であるという理由だけで、相続において不利益が生じ、嫡出子と差別されていることは、憲法に違反しているとして、非嫡出子と嫡出子の相続する権利割合を平等とすることが正式に認められました。

この法律は、2013年9月5日以降に起きた相続、もしくは遺産分割協議などをおこなう相続に関し、適用される考え方で、9月4日以前に発生した相続において、すでに分割協議や、判決がでている事案については適用されないことになっています。

図4:改正前と改正後の比較

図5:改正適用の時期と考え方

2-2.非嫡出子は遺留分も請求できる

相続では、遺言書や生前贈与などによって、本来相続できるはずの財産が大幅に減らされ、その結果、法定相続分が侵害されることがあります。このような場合、最低限相続できる割合である遺留分を、侵害した相手に請求することが認められます。
非嫡出子の方にとって、理不尽な相続がおこなわれたとしても、遺留分の権利を主張し、相続できる最低限の権利を必ず取り戻すことができるのです。
図6:非嫡出子も遺留分の請求ができる

3.すぐに認知されないときの3つの対処策

非嫡出子の方が、平等な相続を実現するためには、認知されることが条件となります。認知されれば、戸籍上、非嫡出子の存在を明らかにすることができます。認知されていれば万が一、非嫡出子の存在を無視して相続を進めようとしても、その行為は、法律上、無効とすることができます。

様々な理由から、すぐには認知ができないことも考えられます。認知の方法はいくつかありますので、状況に適した方法をご検討ください。

3-1.遺言書で認知してもらう「遺言認知」

財産をどのように、だれに引き継いでほしいのか、遺言者の思いや願いを具体的に書くことができるのが、遺言書です。この遺言書に、婚姻外のお子さんを認知する意思を書いておく「遺言認知」は法律上、有効です。
認知するお子さんのお名前、生年月日、住所や本籍、母親の方のお名前を記載し、認知する意思を明確にします。遺言内容を確実に実現してもらうために、必ず、遺言執行者の指定をおこなってください。

遺言認知は、相続が発生すると、遺言執行者の方が認知届を役所に提出し、非嫡出子の方の認知が成立します。戸籍上、認知が明らかになりますので、非嫡出子の方を含めず、相続手続きを進めることはできなくなります

この場合、他の相続人が非嫡出子の方の存在を遺言書で初めて知ることになる可能性が高いため、どうしてもトラブルが生じやすくなります。
遺言書の内容そのものに、相続人各々に対する配慮が必要となることをご理解の上、作成していただければと思います。

※遺言執行者について詳しくは、こちらを参考にしてください。(当サイト内)
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※公正証書遺言書について詳しくは、こちらを参考にしてください。(当サイト内)
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図7:遺言認知は有効

3-2.どうしても認知に応じないときは「強制認知」

相手の方とのトラブルが原因で認知してもらえない状況の場合は、「強制認知」という方法があります。これは、非嫡出子であるお子さんから、父親である相手の方に対し、認知を請求する方法です。

具体的には、父親の方の住まいを管轄する家庭裁判所で認知調停による話し合いをすることになります。話し合いで決着がつかない場合は、裁判へ進みます。調停がまとまるまでには、半年から1年かかり、5回程度の話し合いを行うことになります。裁判に至った場合は、さらに1年以上かかる可能性があります。

3-3.死後3年以内に請求するのは「死後認知」

認知されていない状況で、相手の方が亡くなられてしまった場合は、「死後認知」という方法があります。
亡くなられた後3年以内に、父親の最後の住所地を管轄する検察庁を相手に訴えを起こすものです。母親に対する裁判所からの証人尋問があったり、近親者の方の協力が必要になります。親子関係の立証については、DNA鑑定が必要となる場合もあります。

死後認知が認められたときに、すでに遺産分割協議が成立し、相続手続きが完了していた場合は、すでに相続財産を受け取った方に対し、現金を請求することができます。

4.早めに専門家へご相談を

いざ相続となると、非嫡出子の方を含む相続では、どうしてもトラブルになる可能性があります。

生前に、認知届が提出され、相続人全員が納得できる遺言書が残されていれば安心できますが、なかなか思うような対策はできていない状況だと思います。

特に、強制認知や、死後認知を検討する状況であれば、裁判手続きが絡むことになりますので、個人的におこなうには限界があるでしょう。弁護士などの専門家に早めに相談して、力を借りた方が問題解決の近道になると思います。

5.まとめ

たとえ非嫡出子であっても、相続する権利はありますが、確実で平等な相続権を主張するには、認知されていることが必要です。

すぐに認知ができない場合は、遺言書で認知の意思を示してもらう、強制認知を請求する、もしくは亡くなられてから3年以内に、死後認知の請求をするなどの方法があります。いずれにせよ、認知は繊細な問題なので、できるだけ時間をかけて、ゆっくり話し合った上で、状況にあった最善の策を講じておくことが望ましいと考えます。

非嫡出子であるがために、相続トラブルが予見されるのであれば、できる限りの対策をしておくことが、非嫡出子の方の相続する権利を守ることにつながっていきます。

専門家の力が必要であると判断された場合は、できるだけ早めにご相談されることをおススメいたします。

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