相続税の0円申告とは?申告不要との違い・見分け方と申告が必要な訳

  • 相続税

「お父さんの相続について調べていたら、相続税を減らせる特例を使えば相続税がゼロ円になるみたい」

相続税の申告が必要かどうか調べていると「特例」「非課税枠」「控除」などいろいろな言葉が出てきます。
お父さまの相続において利用できそうな制度を利用すると、相続税が0円になることも少なくありません。

そんなとき「相続税が0円でも申告が必要の場合がある」ということを知って、お父さまの相続では、申告が必要なのか、不要なのか判断できずお困りではないでしょうか。

相続税の申告が必要な方は全体の約8%ですが、この8%に該当する方は必ずしも相続税を納税しているわけではないのです。納税する金額が「ゼロ円」となった方でも、申告を必要とする方がいます。

本記事では、相続税が0円なのに申告が必要な方がどんな方なのかについてご説明します。

1.特例を使って相続税が0円になる場合には申告が必要

相続税のゼロ円申告とは、相続税を減額する特例を使うと相続税がゼロ円になるので、税務署へゼロ円になることを認めてください、という申請を出すことを言います。

特別な書類は必要無く、納税額がゼロ円になった相続税の申告書を提出して、受理されれば完了です。

相続税の申告が必要かどうかの判断基準に「基礎控除」があります。基礎控除額を下回っていれば相続税の申告も納税も不要となります。ただし、相続税を減額できる制度を利用するときには、注意が必要です。

・「非課税枠」を活用して基礎控除額を下回った場合は申告が不要
・「控除」を活用して相続税がゼロ円になった方は申告が不要
・「特例」を活用して基礎控除額を下回った場合、財産の相続税評価額がゼロ円になる場合は申告が必要

※基礎控除について詳しくは、こちらを参考にしてください。

2.2つの判断基準に該当したら相続税の0円申告が必要

相続税のゼロ円申告が必要となる場合は、次の2つの内容を同時に満たす場合です。

同時に満たさない場合には「相続税の申告・納税が必要」または「相続税の申告も納税も不要」のいずかになります。
 ・相続財産を単純に計算して非課税枠を使っても相続税の対象
 ・相続財産に特例を使って計算したら相続税がゼロ円になった

相続税の申告が必要になるのは「相続税の納税が必要なときだけ」ではありません。

もともとは相続税がかかるはずだったが、財産の評価額を下げることができる特例を適用したことで、支払うはずだった相続税をゼロ円にすることができたという場合は、「税務署に特例を使えばゼロ円になることを報告しなければならない」ということです。

図1:ゼロ円申告とは相続税がかからなくても申告義務があるというイメージ
相続税がゼロ円でも申告が必要な場合がある

2-1.相続財産を単純に計算して非課税枠を活用して相続税の対象

相続税の課税対象財産と言われる財産については、1つずつ財産価値を評価して財産の総額がいくらになるのか計算していきます。この総額が基礎控除額を上回ると相続税の申告が必要となります。

まずは条件の一つとして「非課税枠」を利用した結果、相続税の対象となるか確認します。
詳しくは5章でご説明します。

※課税対象財産について詳しくは、こちらを参考にしてください。

2-2.相続財産に特例を使って計算したら相続税が0円になった

基礎控除額を超えた財産がある場合は超えた部分に対して相続税がかかり、申告および納税が必要となります。一方で、特例を利用することで、相続税がゼロ円になった場合には、相続税の申告だけが必要となります。

特例には、財産の評価額を下げることができ基礎控除額以下に財産が収まることでゼロ円申告となるものと、相続税の課税対象財産がゼロになることでゼロ円申告になるものなどがあります。

特例は利用できる要件が決まっているため、相続財産を誰が引き継ぐか、その方の状況はどうかなど、要件に該当するか、確認が必要です。

特例として利用される3つの内容は3章でご説明します。

3.相続税の0円申告につながる3つの特例

相続税がゼロ円になる可能性が高く、ゼロ円申告に繋がる主な3つの特例を紹介します。
小規模宅地の特例配偶者の税額軽減そして相続財産を寄付した場合です。

3-1.小規模宅地の特例を適用した場合

小規模宅地等の特例とは、相続の際に一定要件を満たすと「亡くなられた方の自宅の土地の評価額が最大80%減額できる」というものです。

相続財産の多くを占めることが多い土地の評価を最大で80%減額することができるため、要件を満たすと大幅に相続税の対象財産の評価額を下げることができます。

この特例を適用することで相続税がゼロ円になった場合にも、必ずゼロ円申告が必要です。

<事例①>
相続人:お母さま、お子さま2人
基礎控除額:4,800万円
相続財産の総額:8,000万円
※自宅6,000万円 預貯金2,000万円

奥さまが自宅を相続される場合

自宅の評価額:6,000万円×8割減(小規模宅地の特例)=1,200万円

これにより、相続税の対象となる財産が
1,200万円(自宅)+2,000万円(預貯金)=3,200万円

基礎控除額4,800万円 > 3,200万円 のため、相続税はゼロ円なる

この特例を受けるために、相続税のゼロ円申告をします。

※小規模宅地の特例について詳しくは、こちらを参考にしてください。

図2:小規模宅地の特例で相続税がゼロ円になるイメージ

3-2.配偶者の税額軽減を適用した場合

配偶者の税額軽減とは、配偶者の方が相続した財産が「1億6,000万円まで」もしくは「法定相続分相当額まで」のどちらかの範囲内であった場合、配偶者の方の相続税がゼロ円になる特例です。

基礎控除額を超えた場合に、この配偶者の税額軽減の範囲内で奥さまが相続することで相続税がゼロ円になることがあります。

ただし、相続税がゼロ円になったとしても、この特例の適用を受けるためには必ず相続税の申告が必要となります。

<事例②>
相続人:お母さま、お子さん2人
基礎控除額:4,800万円
相続財産の総額:1億円(現金)

特例を利用しなければ、1億円-4,800万円=5,200万円に相続税がかかる!

お母さまがすべての財産を相続する場合、1億6,000万円以下のため、特例を適用することで相続税がゼロ円となります。この特例を受けるために、相続税のゼロ円申告をします。

※配偶者の税額軽減について詳しくは、こちらを参考にしてください。

図3:配偶者の税額軽減制度でゼロ円申告をするイメージ
小規模宅地の特例で配偶者の相続税がゼロ円になっても申告が必要

3-3.寄付をした場合

亡くなられたお父さまの生前のご意思によって、相続人の方が国や特定の公益法人等に寄付する場合があります。この場合、寄付した金額に対しては相続税がかからないものとなれています。

よって、寄付をしたことによって課税される相続財産が基礎控除額を下回った場合、相続税がゼロ円となりますが、この場合も申告は必要です。

また、寄付金が控除されるためには、相続税の申告期限までに寄付を行うこと、そして寄付をした日付、金額、寄付した金額の用途が記された寄付先が発行する領収書が必要となります。

寄付する団体に対して、支払い用法や領収書の発行について早めに確認しておきましょう。

<事例③>
相続人:お母さま、お子さま2人

基礎控除額:4,800万円
相続財産の総額:6,000万円

寄付する額:1,200万円
※寄付金に対する相続税額が減額されるという考え方になる
寄付金額×遺産総額に対する相続税率=相続税の減額分

 6,000万円-4,800万円=1,200万円 

 → 寄付をしない場合の相続税額:120万円

 6,000万円-4,800万円-1,200万円=0円(基礎控除以下)

 → 寄付により相続税がゼロ円となった

この特例を受けるために、相続税のゼロ円申告をします。

図4:寄付によって相続税がゼロ円になるイメージ
寄付によって相続税がゼロ円になる場合も申告が必要

4.特例の利用には申告期限内の申告が必要【要注意】

特例を適用して財産の評価額を下げる場合には、「申告期限である10ヶ月以内に申告をすること」が条件となっています。「相続税がゼロ円になるから」と安心して申告を忘れると大変なことになります。

期限内に申告することを忘れて申告期限を過ぎてしまうと、期限後に特例を適用する申請をしても原則認められません。

さらに、税務署からは特例が適用される前の相続税に対して延滞税等のペナルティを納税するように指摘を受けることになります。ゼロ円申告は安心して忘れがちになりますので、十分注意しましょう。

※延滞税等のペナルティについて詳しくは、こちらを参考にしてください。

4-1.間に合わない場合は「分割の見込み書」を添付

期限内に遺産分割協議が整わず、誰がどれだけの財産を相続するか決まらない場合には、期限内に仮申告をおこないます。

分割内容が決まっていないため特例が適用できませんので、一旦本来の相続税を納税することになりますが、しっかりと話し合いを継続することができます。

また、仮申告の際に必ず「申告期限後3年以内の分割見込書」を添付します。「分割見込書」には分割できなかった理由、分割見込みの詳細、適用を受けたい特例、控除を記載しておきます。

これにより、ペナルティを受けずに相続税の再申告をすることが認められます。

4-2.分割協議が整ったら0円申告で還付を受ける

「分割の見込み書」を添付して相続税の申告を行った後は、相続財産の分割が決まった時点で改めて申告をおこないます。この申告の際に「更正の請求」と言われる仮申告の修正を行うことで、いったん納めた相続税を返してもらうことができます。

納税の負担が大きい場合は一日も早く協議を調えましょう。

※更正の請求について詳しくは、こちらを参考にしてください。

5.「0円申告」と「申告不要」とは違う!2つの見分け方

1章でも触れましたが、ゼロ円申告は「特例を適用すると相続税がゼロ円になるため、税務署に認めてください」という申請をだすことです。

一方で、申告不要とは非課税枠を利用することで、相続財産の評価額が相続税の申告の判断基準である基礎控除以下になり申告が必要なくなる場合、控除が利用できる場合に該当する方の相続税がゼロ円になる場合です。

5-1.基礎控除以下で相続税が0円なら申告不要

相続財産がもともと基礎控除額以下であって、相続税がかからないゼロ円の方は申告する必要はありません。基礎控除額とは「3000万円+法定相続人の数×600万円」という算式で計算される金額です。

亡くなられた方の遺産総額が基礎控除額以下であれば、相続税の申告も納税も不要です。

非課税枠には、生命保険の非課税枠「500万円×法定相続人」などがあります。

5-2.控除を使って0円の場合には申告不要

相続税が控除される要件に該当して納税額がゼロ円となる場合は、その該当する方は相続税の申告自体が不要になります。該当しない相続人の方は申告が必要です。

主な控除には、障害者控除、未成年者控除、相次相続控除、外国税額控除、相続時精算課税制度などがあります。

6.まとめ

相続税のゼロ円申告とは、特例を適用した結果、本来支払うべき相続税がゼロ円になった場合におこなう申告のことです。ゼロ円でも期限内に申告をしておかなければ、特例のメリットを受けることができず、高額な相続税を支払わなければならなくなります。

ゼロ円申告に該当する主なケースには、配偶者の税額軽減、小規模宅地の特例、相続財産の寄付による控除の3つがあります。いずれも申告期限である10ヶ月以内に申告しなければメリットを受けることができなくなるので注意しましょう。

ご自身のケースではどのような特例が適用できるのか、相続税に関しご不安、不明な点がある場合には、相続税の経験豊富な税理士にぜひ一度ご相談して頂ければと思います。

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