今年、還暦を向え、私自身の人生や未来への展望を考える事が多くなりました。私が世間的には安定の象徴と見られている公務員を辞めたのは39歳の時です。随分遅い卒業でした。 かねてから会計事務所を開くのが「私の思い」だったせいでしょうか、税務大学校から元の職場(国税)に戻った時、なぜか「私の職場がない」という、いいえむしろ「私の居るべき場所ではない」という実感がしました。そこで、急遽、辞表を提出したのです。 私は会計事務所を開くに当たり、多くの人々が集い、切磋琢磨し、伸び伸びと、かつプライドを持って働ける事務所にしようと決意しました。しかし、「できる」という確信があったわけではありません。 企業家の仲間入りをして一番痛感したのは,企業は人であり、それが全てだということです。会社は、多くのステークホルダーによって支えられています。お客様や取引先、地域社会、そして社員。 社員は単なる「労働力」ではありません。社員をロボットのように考えている経営者や、指示待ち社員ばかりでは、絶対に元気な会社にはならないでしょう。社員が働く事を生きがいに感じられるのか。それがあってこそ、会社は輝きを増していきます。 私は国税の職場が長かったせいか、規則は緩やかな方がいい、命令することも少ない方がいいと考えてやってきました。それなりの事務所にはなったようですが、良い面ばかりではありません。最近、本当に悩むのです。OAG税理士法人、そしてOAGグループは継続企業足り得るのか−。 継続企業の条件、それは第一にお客さまからの信頼、支持です。それを可能ならしめるのは、私たち全員の満足と絶えざる努力、研鑽です。 しかし、人は誰しも、辛く厳しい事が好きなわけではありません。特に私は、時にはだらけ、不満を言い、他人にいらいらし、そして時々本当に良い行動(努力、研鑽)もします。それが私であり、人間なのかなと思います。 しかし、私は諦めてはいません。OAGグループが継続企業となるための努力は惜しみません。私には夢があります。それをここで語るのは少々はばかられます。もう少し形が見えた段階で、言葉にするつもりです。 日々、悩みの中にありますが、これが苦痛ではなく、むしろ「人生は楽しいな」と思うから摩訶不思議です。たぶん、能天気なのかもしれません。
OAG税理士法人 代表社員 税理士 太田 孝昭 著 ※広報誌「春夏秋冬」掲載